著者:石田 麻琴

中立的な「外部環境を知る」ための場所を探す【no.1994】

 中立的な「外部環境を知る」ための場所を探す。

 先日、ECMJが所属しているとある団体の新春経済講演会に参加してきました。当然懇親会もなく、団体会員の会話も多くなく、非常にひっそりとしたものでした。以前の活気を思い出すと、残念な気持ちになるところです。

 新春経済講演会のテーマは「2022年の経済予測」でした。今回のECMJコラムはその「2022年の経済予測」ではありません。講師の先生が前段に話したことについてです。

「積み重ね」として「新聞を読む」ことが大切です

 今回の講師は経営コンサルタントの先生でした。コンサルタントの仕事は「答えを考える。教える」ことではありません。クライアントの「判断力を高めるために、何が正しい努力かを教える」ことですよ、と。そして大切なのは「正しい努力の方法」を知るだけではなく、「積み重ねる」ことですよ。そうお話されました。その「積み重ね」として「新聞を読むことが大切ですよ」とお話されました。

 「新聞を読む」・・正直、私自身も大変ながらく習慣になっていないことです。もう20年以上前の就職活動の時期は数社の新聞を同時に読む(がんばって読んだ気分になる)ことをおこなっていました。すでに自宅では新聞を定期購読していません。実家に帰ったときや、病院の待合室で「最後に」取って読む程度になってしまいました。もっぱらネットニュースが中心ですが、先生はそれじゃあダメだというんですね。

 新聞もネットニュースも両方に当てはまることです。やってはいけないのは見出しを読んで「関心がある」ニュース記事だけを読むこと。とくにネットニュースについては「ターゲティング」が充実していますから論外。興味のない見出しでも「大き目の記事」は必ず2~3行は読むようにしてください、と。新聞というのは「外部環境」であり、関心の幅を広げる道具であると。

自分の興味がなかったところに「関心を持つ」

 ここで話してくれたのが駅の「自動改札」の話でした。駅の自動改札には各々にナンバーが振ってある、というんですね。自動改札のナンバーなど気にも留めていないし、存在することすら知らなかった人がほとんどではないのですか、とお話されました。たしかに、残念ながら私自身もナンバーの存在をはじめて知りました。つまり「世の中の小さなことに関心があるか」というのが大切だというんですね。

 大切なのが「外部環境を知る」こと。そして、また自分の興味がなかったところに「関心を持つ」こと。そう考えると現在のインターネットやECは「より趣味嗜好に近い」情報や物品を提案するような仕掛けが完成されており、「知らないことに興味を持つ」機会が著しく低いといえます。

 そう考えると、ネットは本当の世の中の流れとはズレたものになりやすいといえます。我々ECビジネスをおこなっている人間にとっては「逆のチャンス」がありそうです。ネットという「ターゲティング」を飛び出して、中立的な「外部環境を知る」。「本当の世の中の流れ」を把握することがEC事業者も重要なのではないでしょうか。

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