まず「KPI設定」をしてから細かいデータ分析を進める。
DXの意識向上から「KPIの設定」の相談が増えています
コロナ禍以降、対面での営業活動が難しくなりました。そのためDXのデジタルマーケティングのニーズがより強まっています。その中で、経営数値や日々の業務の成果を可視化・ビジュアル化し、データドリブンのマーケティングを展開していく「BI(ビジネスインテリジェント)ツール」の再定義が同時多発的に起こっています。
数年前のBIツールの盛り上がりは新しいモノに対する期待値トレンドでした。それがコロナ禍以降の1年半を経て、BIツール活用にスポットが当たっています。その流れで「KPIの設定」のニーズが高まっていると。
というわけで、今回は「KPI設定」の話です。
KPIは少なければ少ないほどよい
KPI設定の相談をいただいた企業さんのBIツールのダッシュボードを見てみます。多くが、様々なデータ分析のグラフがずらーっと並んでいるんですね。データ分析は様々なデータを見て、インサイトを見つけ出すイメージがあります。また、様々なデータグラフがあった方がどこか「分析している感」があるんですよね。なので、その気持ちはわからないこともありません。ただことKPI設定の視点でいえば、確認するグラフが少ないほど良いわけです。
ご存じのとおりKPIとは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」という言葉の略です。「成果(ECの場合は売上)のための重要指標」ですから、たくさんあっては困ります。極端にいえば、本当に理想的なKPIは「今日お客様のところを100件回れ」なわけです。100件回ればそれなりの売上になり、それなりの利益が残ると計算できているわけです。
まず理解しておきたいこと。それはKPI設定の前にグラフを作りまくるのは間違っている、ということですね。あくまで上流にはKPIがあります。そしてそのKPIの動きを細かく分析するために多面的なデータ分析があるわけです。
結果KPIとアクションKPIの違いを知る
さて、KPI設定の話に戻ります。ECのKPIは「アクセス数(セッション数)」「転換率(CV率)」「客単価」の3つです。またビジネスモデルによって「リピート数(率)」「会員数」「広告費率」などをKPIにしているケースもあります。これらのKPIは「結果KPI」と呼ばれています。「何かのアクション(行動)をした結果」として生まれるものです。ですから、これら「結果KPI」の下にアクションが入ることになります。
アクションの中でも数値で測れるものがあります。前述した「今日お客様のところを100件回れ」みたいなものですね。EC事業でいうと「今日、このカテゴリの商品を30商品追加しよう」。「今週50万円分のPPC広告をかけよう(CPA5,000円で)」。みたいなものでしょうか。これらを結果KPIに対しての「アクションKPI」と呼びます。
アクションKPIで測れるとより行動しやすくなる
もちろん「ECサイトのデザインを変更する」というアクションは「アクションKPI」で測れないものです。アクションは「アクションKPI」で測れるものの方がわかりやすく、行動につながりやすいものになります。そして、「アクションKPI」で測れると「結果KPI」での判断もしやすくなりますよね。さらに「ECサイトのデザインを変更する」は「結果KPI」でも判断がなかなか難しいのです。
KPIの設定を考えるとき、「結果KPI」と「アクションKPI」の違い。そして「結果KPI(いわゆるKPI)」を設定してからそこに紐づく細かいグラフ(ビュー)を作成すること。このふたつを頭に入れておいてください。
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