著者:石田 麻琴

数値管理表のポイントは「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」【no.1984】

 数値管理表のポイントは「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」。

 ECMJがコンサルティング時にお客様にお願いしているのが「数値管理表」。運用の最大のポイントは「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」にあります。という話が、今回のコラムです。

リアルでのアクションも入力することが大切

 数値管理表についてはECMJコラムで何度も説明をしているので解説は省きます。数値項目の入力についてのポイントなども何度か説明しているので今回は控えます。「やったこと・内的要因・改善施策」と「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」について。まずは「やったこと・内的要因・改善施策」から。

 「やったこと・内的要因・改善施策」の欄。ここには自分たちがマーケティングとしておこなったことを残していきます。SNSの情報発信もそうですし、商品画像の改善・追加などもそうです。販促企画のスタートなんかもありますよね。お客様に「商品を買ってもらう」だったり「ページにアクセスしてもらう」だったり反応をもらうためにおこなったことですから、「結果」としてのデータに結び付く可能性が高いわけです。

 この「やったこと・内的要因・改善施策」を入力する際に押さえておきたいこと。それは「ネットだけではなく、リアルでのアクションも入力する」ことです。着地はECなのですから、ネット上のアクションを入力したくなるところではあります。しかしリアルでのイベントやポップアップは、ECサイトにも何らかの影響が出ます。「やったこと・内的要因・改善施策」には、網羅的に情報を残しておきましょう。

自分たちが「気づいていないニーズ」を知る材料

 次に「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」です。これは自分たちの施策ではないけれど、数値に影響を及ぼしている「かもしれない」事項を入力します。「影響を及ぼしている」ことが大切なのではなく、「かもしれない」ことで構いません。

 ここで混同してしまうのが「やったこと・改善施策」が「内的要因」を指すのに対し、「起こったこと・理由特筆事項」は必ずしも「外的要因」を指さないということです。「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」に外的要因を入力する方がたまにいます。「自分たちがおこなったことではない(=内的要因ではない)」しかし「自分たちがコントロールできないわけでもない(=外的要因ではない)」ことが要因として必ずあるはずです。ここが次の施策を考えるチャンスになります。

 たとえば、自社の商品を大量に購入したお客様がいたとします。季節性の要因があった場合、外的要因に感じられてしまいます。ただ「その季節性により大量に必要とするお客様がいる」というニーズのサインでもあるわけです。「お客様の買い方」「お客様からの問い合わせ」「想定していないお客様の使い方」。これらは市場の潜在的なニーズを察知し、次の提案を考えるためのヒントなのです。「起こったこと・理由特筆事項」は「気づいていないニーズ」を知る材料なのです。

なんでそうなったかがわかれば、どうすればそうなるかがわかる

 数値管理表の最大のポイントは「起こったこと・外的要因・理由特筆事項」の入力です。これはトヨタの「なぜを5回繰り返す」と同じようなものだと思います。つまり「なんでそうなったかがわかれば、どうすればそうなるかがわかる」の気持ちです。数値管理表をしつこく運用していきましょう。

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