著者:石田 麻琴

毎月当たるプレゼント、毎週当たるプレゼントのヒミツ。前編【no.1949】

 毎月当たるプレゼント、毎週当たるプレゼントのヒミツ。前編

 先日、顧問先様の定例マーケティング会議のときに、わたしがオンラインショップの運営者をやっていたときの「プレゼント企画」について話す機会がありました。入社して半年?くらいのときに、それまで「作業的に」運営していたプレゼント企画について「その仕組み(仕掛け)」を前職の社長が話してくれたんですね。そのときの話を紹介します。

 もう2005年とか2006年とか、15年以上前の話です。わたしが入社したECベンチャーの会社ではふたつのプレゼント企画を走らせていました。ひとつが「毎月当たるプレゼント」もうひとつが「毎週当たるプレゼント」。文字通り毎月当たるプレゼントは毎月開催していて当選発表が月一回。毎週当たるプレゼントは毎月開催していて当選発表も週一回、という感じですね。

 この毎月当たるプレゼントと毎週当たるプレゼントの運用の仕事は代々入社した新人さんの仕事と位置づけられているようでした。2005年の7月に入社したわたしにもほどなくこの仕事が回ってきました。プレゼントの仕方、集客の仕方、当選発表の仕方、これらがワンセットで毎月と毎週。とくに毎週当たるプレゼントは企画と当選発表が繰り返されるので運用が大変でした。

 ただ、社長が話してくれた「仕組みと仕掛け」で重要な位置づけだったのはおそらく毎月当たるプレゼントの方です。毎月当たるプレゼントがあってこその毎週当たるプレゼントという感じでした。新規のお客様の「入口」として毎月当たるプレゼントがある。新規のお客様との「接触」として毎週当たるプレゼントがある、そんな位置づけです。

 このECベンチャー企業では、半OEMのジュエリーを販売していました。毎月当たるプレゼントの景品は「ヴィトンのバッグ」です。ちょっと小物が入るような小さめハンドバッグだった記憶があります。なぜプレゼントの景品がジュエリーではなくヴィトンのバッグなのか。社長いわく「まずは多くの人が欲しいもので認知してもらうため」だというのです。つまり、ヴィトンのバッグが欲しい人をいかに「ジュエリーが欲しい人」に引き上げるか。ここがポイントだというのです。

 そのために重要なのが、「残念賞」でした。ヴィトンのバッグの当選者は毎回1名。ただ、当選できなかったお客様にはダブルチャンスがあります。我々が指定した「8つの商品」の中からひとつを残念賞用のプレゼントに選ぶことができます。この残念賞の当選者は3名。ただ「8つの商品の中からひとつを選んでもらう」という行動。これが「ヴィトンのバッグへの興味をジュエリーに動かす」ために重要だというんですね。「お客様は8つの商品をきちんと見て残念賞に選ぶ」と。この「きちんと見て自分で選んでもらう」というのが大切です。仮に残念賞がひとつだとお客様は「残念賞はちゃんと確認しない」んですね。

 さらにヴィトンのバッグにも残念賞にも当選せずのお客様には「オンラインショップで使える割引クーポン」を発行します。これをやることでまずは「ヴィトンのバッグ目当てでアクセスしたけど、これくらいの価格でこれくらいのデザインのジュエリーなら買ってみてもいいかな」とお客様に一度買ってもらう流れをつくるわけですね。

 きちんと解説していたら意外と長めのコラムになってしまったので、後編に続きます。

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