(こちらは2021年公開のコラムです)
前回コラム(no.1912)のつづきです。
「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、「業務、運営効率を上げる」についてご紹介しました。今回は「データ活用を身につける」についてお話します。
Eコマース事業を成長させるために欠かせないのが「データ活用」です。Eコマースは気合や勘でやるものではなく、データ活用をベースとして理論立てて運営を進めていくことができます。ECMJコラムでも「数値管理表」というECMJ独自のデータ活用方法について紹介していますが、いかなるカタチでもデータを活用してマーケティング活動をおこなっていってください。
データ活用の概念はデータ分析とは異なります。データ分析がデータという「結果」を見ることをメインにしているのに対して、データ活用は施策や理由などの「原因」をみるのです。データ活用はデータを見ることではなく、日々Eコマース事業の運営業務においておこなっている改善施策(内的要因)や市場環境や競合の変化で起こったこと(外的要因)をみていくのです。そしてデータという「結果」とその「原因」を紐づけていくのです。
これをECMJ的な表現では「なんでそれがおこったかがわかれば、どうすればそれがおこるかがわかる」という表現をしています。「それ」を「売上」に変えてみてください。「なんで売上があがったかがわかれば、どうすれば売上があがるかがわかる」になります。「それ」をたとえば「体重」などに変えてみれば、「なんで体重が増えたかがわかれば、どうすれば体重が増えたかがわかる」になります。「なんで財布の中身が減ったかがわかれば、どうすれば財布の中身が減るかがわかる」。いろいろ応用ができます。楽しいので言葉を様々変えてみてください。
この「なんでそれがおこったかがわかれば、どうすればそれがおこるかがわかる」はどのような言葉に置き換えても面白いことに成り立つのです。ポイントは「結果」には「原因」があるということです。そしてその「原因」を意図的に起こすことができれば、望むような「結果」を起こすこともできる(かもしれない)ということです。もちろん「原因」をはっきり特定できるかはわかりませんし、自分たちで「原因」を起こせるかもわからない、望んだ「結果」に100%近づけるかもわかりませんが、「原因」をつかむことができれば「結果」に向けた大きな一歩を踏みだすことができます。
原因には「内的要因」と「外的要因」の二種類があるということは、ここまでのコラムでも書いたとおりです。データに効いているのが内的要因なのかそれとも外的要因なのか、ここを整理して、内的要因なのであれば施策のボリュームを増やすか精度を上げていく、外的要因であれば対処や対策ができないかを検討しルール化する、ということを繰り返していきます。市場は常日頃から変化をしているので、データ活用を「時間があるとき、余裕があるとき、思いついたとき」にやるのではなく、毎日繰り返すことが大切です。特に中小企業のEコマースが成功するためには、市場の変化に対応する「スピード」で勝負するしかありません。
ECMJが推奨している「数値管理表」は日々のデータ活用の運用シートでもあり、またデータ活用を習慣化するための練習用のシートでもあります。本来は「数理管理表」の運用でデータ活用をおこなうのではなく、日々のあらゆる仕事をデータ化し「原因と結果」を意識しながら業務を進めていかなければいけないわけです。最初は慣れませんし面倒かもしれません。しかし地道に継続していけば必ずデータ活用の力はついていきます。