(こちらは2021年公開のコラムです)
前回コラム(no.1892)のつづきです。
「コンサルタントが教える!Eコマース成長の法則」というテーマで連載をしています。前回は、10年以上前から議論されつづけている課題「自社サイトかショッピングモールか」について解説しました。今回は前回のつづきです。「自社サイトを成功させるには」という視点で書いていきます。
Eコマース事業をおこなう際、どちらかといえば取り組みやすいのがショッピングモールでのEコマース運営であり、難易度が高いのが自社サイトでのEコマース運営になります。ショッピングモールのEコマース事業は、ショッピングモール自体についているお客様がいるためネットショップへのアクセスも、ネットショップでの注文も比較的早めに受けることができる可能性があります。Eコマース運営側の実践の効果が比較的早く見えやすいため、次の行動につなげやすいのが良いところです。逆に、自社サイトの場合はネットショップへのアクセスも注文もない、無風状態がつづくケースさえもあります。
自社サイトを成功させるには、その存在自体がお客様にとって何かしらの価値がなくてはいけません。ショッピングモールで月商数千万円、年商数億円の実績をあげているEコマース事業者でも、自社サイトで月商数百万円、場合によっては月商数十万円しか実績をあげることができないケースを考えると、いかに「自社サイトの存在価値」が大事かがわかると思います。シンプルにいうなれば「ブランド力」かもしれません。
前回までのコラムでも書いたとおり、まず自社サイトで成功しやすいパターンは「リアルの世界でブランドを築いている」会社さんのEコマース事業です。実店舗なり商品ブランドなりでリアルの世界でのブランドを築いており、販売実績を残しているサービスについては自社サイトを立ち上げてすぐ売上につながっていきます。なぜならば、お客様側は確実にインターネット上でそのブランドについて検索をしているからです。お客様がEコマースで購入しようとしている欲求があるならば、Eコマースのスタート時点で売上につながります。しかし、このようなケースは稀ですし。いまではすでにEコマース事業をスタートしているでしょう。
リアルの世界でのブランド力がいまいちでも、自社サイトが必ず失敗に終わるわけではありません。インターネット上でブランドを築いていく方法もあります。現在でいうD2Cのスタートアップ企業などは、インターネットで物販のブランドを築いていこうとしている会社さんです。そこに必要なのは、尖ったコンセプトと尖った商品、そしてそれをインターネット上で認知してもらうための広告宣伝費ということになります。少なくとも自社オリジナルの商品であることは条件のマストです。そして願わくは、高い利益率の商品であること。商品原価率が30%以下であることが望ましいところです。
前回のコラム「自社サイトとショッピングモールのメリットとデメリット」でも書いたとおり、ちょっとした販促ではショッピングモールの販促には叶いません。たとえばショッピングモールのポイント施策はショッピングモールの全店対象なのですから、特定の店舗でしか使えない「自社ポイント」のインパクトは当然ショッピングモールよりも弱くなります。むしろポイントといった販促の土俵でたたかうことすらしない方がいいかもしれません。
自社サイトで「売れる」ケースは様々なれど、「必ず売れる」方法はなんとも言えません。しかし、試行錯誤のPDCAを継続して成功に辿りつくために「自社オリジナル商品」「高い利益率」は間違いなく欠かせない条件になっていきます。ショッピングモールからのEコマース事業のスタートでも、この部分は常に意識しておくべきです。