先日、大学の先輩と食事をする機会があったのですが、そのとき聞いたお話が興味深かったので紹介をします。
その先輩は会社を経営しており、そこまで大きな規模ではないものの、毎年数名の新卒社員を採っているんですね。ちょうど少し前に新卒採用をしていたようなのですが、今年の面接は新型コロナウィルスの問題によりオンラインでの面接も導入したとのことなのです。
ただ、オンラインの面接だけではなく、会社に訪問してもらっての面接も受け付けており、新卒の学生に面接のオファーを出す際に「オンラインの面接をご希望ですか、それとも弊社での対面での面接をご希望ですか」を選択してもらうというんですね。そして、どうしても「対面での面接を希望する新卒の学生」を少しポイントアップしてしまうと。
コロナ禍によりオンライン化が進んでおり、オンライン面接も「感染から学生を守る」という目的ではあるものの、それを逆手にとって「移動しなくても良いので面接を詰め込むことができる」だったり「パソコンの前にカンペを置いて面接にのぞめばOK」みたいなダメノウハウができている部分もあります。
もちろんそれだけではなく、「わざわざ時間をかけて会社まで足を運んでくれる」学生の方が当然印象はいいし、採用したくなる。というのですね。また、「わざわざ会社まで訪問してくれる」学生の方が、会社に対する志望度も高いので、そういう意味でも「対面での面接を希望する新卒の学生」がポイントアップしてしまう、と。
面接をオンラインで受けるのが良くないことで、面接は会社に訪問させてもらって受けるものだーー!!みたいな昭和的な話がしたいわけではないですし、そんなことはちっとも思っていません。ただ、学生と面接する側として「訪問してくれて顔を見せてくれた方が絶対気持ちが相手に伝わるよね」と。仮に自分が面接する立場として考えたら、自分がどう相手に対応した方が心地よいかはわかるのではないかという話です。
もちろんオンラインで面接を受ければ新型コロナウィルスに感染する可能性はないし、会社に訪問する方が感染する可能性が高いわけですが、「企業を知る」「企業に知ってもらう」という目的から考えた場合、どうなのですかね。難しいところですが。
―――と、ECMJコラムとしてのポイントは「オンラインが良いか、対面が良いか」という話ではなくて、「対面を選択する」ことの付加価値が間違いなく上がっているということです。
これも先日、都内のとある会社さんに訪問にいきました。ECMJは顧問先の会社さんには訪問していますので、あまり特別感はなかったのですが、先方の会社の担当者さんは「本当に久々の」対面での商談ということでえらく感動してくれました。「こんな中でも来社してくれてありがとう」と、我々としてはそこまで特別感はなかったのですが・・(二度目)
やはり対面での商談の方が話は進みやすく、今後他社さんのサービスとの比較などが入ってくるとは思いますが、「対面でヒアリングし、対面での情報を元に資料を作成、提案する」方が付加価値が高いのは間違いないのではないでしょうか。ビフォーコロナで我々があたり前にやっていたことが、なぜか付加価値になっているのです。
まったく逆の話もあります。お客様の役員に「オンライン会議」を薦めたところ、「対面で話を進められないならば御社とは取り引きをしない」と怒られたというのです。こちらも知人のソリューション企業の話です。ECMJでもメンバー全員の認識として、「基本的には訪問を前提とする」ことで一致しています。お客様が「オンライン」を提案されるならば従えばいいのです。大切なのは「仕事をいただく側」が「オンラインで」と言わないことではないでしょうか。