著者:石田 麻琴

実店舗に転用できる「数値管理表の考え方」について【no.1856】

 ECMJがお伝えしている「数値管理表」の考え方は実店舗にも応用することができます。飲食店、小売業、家具屋さん、家電量販店・・日々ウォッチする数値項目を変えることで、業態に合った数値管理を展開することができるのです。

 今回は実店舗に転用できる「数値管理表の考え方」について。

 ECMJが顧問先の皆さんにどのようなカタチであれ必ずおこなってもらうのが「数値管理表」です。「数値管理表」については何度もECMJコラムで紹介しているので、改めてその活用方法を書くことは避けますが、マーケティングのチームメンバーが日々「数値管理表」を運用することで、数字の変化に敏感になったり、お客様が求めている潜在的なニーズを自ずと感じとることができるようになります。

 ECMJがコンサルティングに入らせてもらっている会社さんの場合、基本的にはBtoC・BtoBに限らずインターネットを活用してより実績を上げていきたいという顧問先様が多いので、インターネットを中心とした指標を使って「数値管理表」を運用していますが、中には実店舗を運営していてそこに「数値管理表」の概念を浸透させている会社さんもあります。

 実店舗が「数値管理表」を活用するとして、まず決めるべきなのは「数値管理表」に入力する数値項目でしょう。

 まず考えられるのは「来店客数」。インターネットにおける「アクセス数」や「セッション数」にあたるものなのですが、特に小売りの実店舗の場合、「来店客数」のデータを取得するのは容易ではありません。コンビニや家電量販店などは特別な仕組みを用意しなくてはいけないでしょうが、飲食店や保険代理店などは「来店客数」の取得ができるはずです。飲食店などは「来店客数=利用者数」でもありますね。

 次に「利用件数」でしょうか。インターネットにおける「受注(注文)件数」や「コンバージョン数」にあたるものです。小売りの実店舗の場合はPOSレジが入っていると思いますので、POSレジのデータからその日の「利用件数」を出すことができます。コンビニも家電量販店も出せるはずです。飲食店もPOSレジから出せますね。飲食店の場合は、「利用件数」の他に「利用人数」の情報も日々取得した方が良いでしょう。

 あたり前ですが「売上」。BtoCビジネスである実店舗は売上が当日発生するでしょうから、「来店客数」や「利用件数」「利用人数」と「売上」は相関関係があるはずです。「売上」「来店客数」「利用件数」「利用人数」のデータが取得できれば「客単価」のデータを取得することができます。小売りの実店舗の場合は、「売上÷利用件数」で「客単価」の情報を計算し、飲食店の場合は「売上÷利用人数」で「客単価」の情報を計算します。

 「数値管理表」のデータ項目はこんなもので大丈夫です。あとは「数値管理表」の特徴である「改善/施策」「理由/特筆事項」の欄をもうけて、「数値管理表」を運用していきます。ということなんですが、大切なのは数値項目を日々埋めていくこと、「改善/施策」「理由/特筆事項」を日々入力していくことではありません。「数値管理表」をメンバーに共有して、「数値管理表」を見ながら気づきと次の施策を話し合うことなのです。

 そのためには「数値管理表」を軸にして議論をする時間を用意しなくてはいけません。おすすめなのは、毎朝朝礼後の15分間、前日の「数値管理表」を入力し、それについて軽く話す時間をつくること。そして週に1回、もしくは隔週に1回、1時間から1時間半のまとまった時間をつくって「数値管理表」からの気づき、仮説、次の施策について話す時間をつくることです。

 実店舗の皆さんも簡単にできることだと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!