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自社のサービス全体の「CPA=顧客獲得単価」も分析する【no.1855】

 インターネットビジネスのみならず、マーケティング用語として広く知られるようになった言葉に「CPA(=Cost per Acquisition)というものがあります。

 このCPAを日本語にすると「顧客獲得単価」です。顧客データを軸として考えたときに、ひとりのお客様に自社のサービスを利用してもらい、顧客データに入ってもらうためにはどれくらいの金額が必要か。その指標になります。少しきたならしい表現をすれば「お客様ひとりあたりいくらで獲得できるか」でしょう。雑な言い方になりますが。

 CPAという言葉は主にインターネット広告の業界で使われることが多く。たとえば、100万円のインターネット広告を出稿したときに、1,000人のお客様が購入してくれた場合、「100万円÷1,000人」で顧客獲得単価、CPAは「1,000円だった」と判断することができます。実際には同じお客様が複数回購入していたり、過去に購入履歴のあるお客様がリピート購入をしていたりするケースもあるので、純粋なCPAを算出するためにはもう少し手間が必要といえば必要です。

 さて、このCPAについてですが、インターネット広告の出稿時だけではなく、自社のサービス全体での数字を指標としてウォッチしていますか、というのが今回のECMJコラムのテーマです。

 インターネット広告を外部の会社さんに委託する場合、必ず成果レポートの中にCPAの数字を入れてくれます。GoogleアドワーズやFacebook広告など、自社でインターネット広告の配信をおこなう場合も、管理画面上からCPAのデータを簡単に閲覧することができます。このようなインターネット広告を活用したときだけではなく、常に自社のサービス全体でのCPAを把握しておきたいところです。

 計算方法はシンプルです。自社のマーケティングコストを新規顧客数で割れば算出することができます。この数字を月次の成果指標として残し続けていくのです。問題は「マーケティングコスト」についてどこまでを含むかになりますが、基本的には「広告費」付けくわえるならば「販促費」ではないでしょうか。「新規顧客数」は社内のデータベースから、もしくはデータをエクセル関数で集計することで算出することができます。

 大切なのは「なぜインターネット広告のCPAだけではなく、サービス全体のCPAを把握しておく必要があるのか」ここを押さえておくことです。

 インターネット広告は必ずしも「すぐに成果(=売上や販売)に直結する」ものではありません。インターネット広告をクリックして、WEBサイトに飛び、そのまま商品の購入やサービスの利用につながってくれればいいのですが、必ずしもそうはならない、むしろそうではないケースの方が多いことは、自分自身のインターネット利用者側の立場からするとわかると思います。

 商品を紹介するインターネット広告であれば、商品のWEBサイトを閲覧したり、ショッピングモールやEコマースサイトを複数閲覧して購入を決めるのが普通です。Facebook広告やInstagram広告、Twitter広告などのソーシャルメディア(SNS)で可能になるのは「認知と興味」であり、「購入」はまた別のタイミングになることは想像できることでしょう。

 そう考えると、インターネット広告そのものとしてのCPAは芳しくなくても、サービス全体のCPAは十分採算ラインに乗っている、という可能性があります。そしてそれはインターネット広告のCPAだけを追っていてはわからないデータです。

 前述のとおり、インターネット広告を外部委託すればパートナーがレポートを作成してくれます。しかしそのレポートにあるCPAはあくまでマーケティングの「一部分」をデータ化したものに他なりません。大切なのはサービス全体のデータを知ること。そしてそのサービス全体のデータを分析するのは、インターネット広告の会社さんではなく、あなた自身です。

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