市場環境の変化を捉える上でぜひ実施してもらいたいのが主要な数値項目の前年同月との比較です。
特に今年は新型コロナウィルス感染症の影響で市場環境が変化しているでしょうから、「どの数字が増えて、どの数字が減ったのか」比較をしておくことが重要になりそうです。
Eコマースの場合であれば、商品ページのアクセス数について前年同月との比較をおこなってみましょう。Eコマースの市場は今回の問題により「どちらかといえば追い風」が吹いている会社さんが多いと思います。Eコマースサイトへのアクセスも前年比で多くなっているところが多いようです。ポイントは「個々の商品ページはどうなのか」です。
前年同月の商品ページと当月の商品ページのアクセス数を比較することで、特に数字が上がっているページ、特に数字が下がっているページを確認することができます。今回のケースに関しては、数字が上がっているページについては「ニーズ(=ボリューム)」自体が上がっていると捉えてほぼ良さそうです。数字が上がっているページ(=商品)は市場のトレンドに合っている、と判断して良いと思います。
大切なのはこれを理解した後です。商品ページのアクセス数の増加に合わせて注文数も伸びているのか、それとも注文数が変わらないのか、むしろ減ってしまっているのか。ここを確認したいところです。
アクセス数の増加に合わせて注文数が伸びていれば問題ありません。場合によってはアクセス数の伸びよりも注文数の伸びが勝ってしまっていることもあるかもしれません。「なぜ市場においてより受注が取れているのか」競合他店のEコマースサイトを確認しながら検証をしたいところです。もしかしたら他の商品ページに汎用させられるようなポイントが見つかるかもしれません。
困ってしまうのがアクセスの伸びに比べえて注文数が伸びていないケースです。前年同月との比較をするとこのケースに気づいてしまう事業者さんが多いように感じます。つまり市場的なニーズ(=ボリューム)は高まっているのだけれど、注文を取り逃してしまっていることになります。チャンスがきているのに掴めていないわけです。早急な対応が必要になります。
基本的には対策は伸びている場合とも一緒です。市場と競合他店のページと自社のページを比較して、「相手が選ばれてしまっているポイント」を探し出すのです。はっきりとわからないこともありますから「これとこれではないか」と目星をつけます。自社のページを改善して、どこがお客様の選択動機になっているかを探すのです。
「価格が圧倒的に安い」などの理由だと、競合他店とはそもそも対抗できないかもしれません。その場合は「価格」に変わる付加価値を検討します。お客様(=ユーザー)の使用用途や目的をイメージし、対象顧客を絞りこみ、そのお客様(=ユーザー)だけの琴線に触れるような付加価値をつくっていくのです。ここでは対象顧客を絞ることがポイントになります。
前年同月と比較して市場環境の変化を探す。これはEコマースに限らず、インターネットからの問い合わせを増やすBtoBビジネスにおいても、WEBを介さないリアルビジネスにおいても一緒ではないかと思います。違いはデータの取り方やデータを集計できるか否かだけです。WEBサイトのように「データが自動で出てくる」仕事でない方が、データを活用したときのインパクトは大きいかもしれません。
データの集計、分析は面倒なものです。面倒だからこそ継続することができません。継続をすることによって競合他社と少しづつ差をつけることができるのではないでしょうか。