著者:石田 麻琴

新型コロナが市場に与える影響。BtoCマーケティング編【no.1833】

 5月に入りゴールデンウイークも明け、通常業務に入った会社さんも多いと思います。緊急事態宣言が出ている状態ではありますが(もしかしたらこのコラムがアップされるころには解除になっているかもしれませんが)経済活動を動かしていかないと、他の問題が深刻になっていくわけです。

 新型コロナウィルスの問題は実際の感染以上に人々に精神的な恐怖やトラウマを残しました。お客様の購買行動も変化していくことは間違いありません。今回はコロナが与える影響をBtoCを軸に考えていきたいと思います。

*急速に進んでいるEコマース化

 まず今回の新型コロナウィルスの問題を契機に、お客様の購買行動としてEコマースにニーズが急速に傾いていることは言うまでもありません。物流がどうなのか、配達がどうなのかという課題もありますが、店舗で商品を購入するよりもインターネットで商品を購入する方が「安心」という認識が強くなっています。

 また飲食店などの実店舗においては店舗内で商品を提供することができないため、食品のテイクアウトや物販化によって売上をつくらざるを得ない部分があります。これまでのEコマースというと「モノ」を売っている会社のインターネット化がメインでしたが、これからは「サービス」を売っている会社のインターネット化も進むことになるわけです。

 とはいえ、新型コロナウィルスの問題の落としどころによっては「一時的にEコマースに比重が傾いたものの、結果的にはあまり変わらなかった」という可能性もあります。人間の生活スタイルはそう簡単に変えられないものです。巷では「アフターコロナはDX」的な情報があふれていますが、冷静な目と判断が必要です。

 Eコマースのニーズは強くなりますし、また今回のような問題がいつ起こるかわからないので、マーケティングの比重を変える必要がありますが、「リアルとネットが逆転する」「リアルのニーズが無くなる」かというとそれは疑問です。

*Eコマースに合わせたサービスづくりは検討

 今回の新型コロナウィルスの問題によって企業に大きな影響を与えたのがリモートワークでしょう。数年前から「働き方改革の実現」がうたわれてきましたが、新型コロナウィルスの問題が「働き方改革」を一気に実現させてしまった・・というのは皮肉なものかもしれません。

 リモートワークを実現するためのツールとしてWEB会議システムの「Zoom」があります。この2か月で一気に業績を伸ばした外資系の会社です。「Zoom」の有料アカウント契約をした会社は多いと思いますが、なぜこの短期間でこれだけ「Zoom」が導入されたかといえば、「Zoom」というシステムの販売自体がEコマース化されているという事実があります。

 従来のシステムだと一度オンライン(もしくはリアルの)説明会を挟んでとか、営業担当者からの説明を受けてとかの手順を挟んでいましたが、「Zoom」は人が介在することなくオンラインのみで決済、契約、利用をスタートすることが可能です。もちろん「Zoom」だけではないですが、サービスをいかに「Eコマース化」させるかがこれからのポイントになります。「モノ」だけではなく、「サービス」もインターネットに合わせたカタチに変えていかなければいけないわけです。

 ただし、オンライン化のデメリットは競合性にあります。マーケットにローカル、地域という概念がなくなり、突然全国大会になります。「Zoom」のように外資の会社も絡めば世界大会にもなりえます。前述したとおり、人の生活スタイルは簡単には変わりません。一定数の需要は残りますから、あくまでローカルに特化して、その一定数を狙い続けるのもマーケティングとして間違いではありません。中途半端にオンラインに出ていかないことです。