著者:石田 麻琴

「朝イチで決めたスケジュール」を守り続ける【no.1823】

 不要不急ではない予定が避けられていることで、どちらかといえば「時間に余裕がある」状態になっている会社さんが多いのではないでしょうか。

 スーパーマーケットやオンライン会議システムなど、一部めちゃくちゃ忙しくなっている会社さんもありますが、展示会やイベントが中止、アポイントや商談も延期、それにともなう営業資料や提案資料の作成の仕事も緊急ではなくなりますし、制作や開発の会社さんも納期が大幅に後ろになる、というような状態が多いと思います。

 こういった「時間に余裕がある」状態って、けっこう危険なんですよね。

*人は「やるとやりたくなる」「やらないとやりたくなくなる」

 以前、ECMJが所属しているBPIAの倉重会長(株式会社シグマクシス代表取締役会長)がおっしゃっていた言葉ですごく納得がいくものがありました。それがこの「人はやるとやりたくなる。やらないとやりたくなくなる」という言葉だったんですね。

 自分事におきかえてみても、あまり普段洋服を買わない方なんですが、一度洋服を買うとまた洋服を買いたくなっちゃうんですね。一度お菓子を食べるとさらにお菓子を食べたくなっちゃいますし、外食が多くなると次どこに食べに行こうかななんて思ってしまう。

 私自身、「適度に楽しむ」というのがあまりうまくないタイプなので、「うわー、はまっちゃってるなぁー」と感じたとき、中途半端に続けるのではなくて、「一切やめてしまう」というぶった切りの判断をすることが多いのですが、自然に「やらないとやりたくなくなる」んですよね。

 これを「時間に余裕がある」状態に置き換えると、普段の忙しい状態から仕事に遠ざかっていくことで「仕事が面倒になる」可能性があるんですね。

*いつやってもいい仕事は、今日やらなくてもいい

 時間に余裕がある、不要不急ではない予定がない、そして納期までも時間があいている。こうなると今かかえている仕事はいつやってもいい仕事になりますし、今日やらなくても明日やれる時間があるわけです。もしかしたら明後日や来週にもやれる時間があるわけですね。そうなると不思議なことに、その仕事をすることが面倒になっていくんですよ。

 いつやってもい仕事は、今日やらなくてもいいわけです。この時間が続いていくと、少し手を動かすことが面倒になってしまう。露骨に売上に効くことわかっている仕事しかやらなくなってしまう。最低限の仕事をこなすようになっていって、将来のアイデアにつながるよな「一見無駄な仕事」に取り組まなくなってしまう。「時間に余裕がある」はずなのに、不思議ですよね。

 適度な緊張感がないと、人間はダレてしまうんですね。特に、それまでが忙しいと反動でたわんでしまいます。

*ポイントになるのは「自分で自分を縛ること」

 大切なのは「自分で自分を縛ること」。「時間に余裕がある」中で適度な緊張感を保ち、また仕事が忙しくなったときに即対応をするためには、自分を律することがポイントになります。具体的としておすすめしたいのは、「今日やると決めたことを今日やりきる」ことだと思います。

 朝オフィスに出社をする、もしくは自宅でのリモートの仕事かもしれませんが、朝イチで「今日はこの仕事をここまでやりきる」というタスクを決め、自分の中でスケジューリングをします。この「朝イチで決めたスケジュール」を一日守り続けるのです。途中「これ、明日でもやる時間あるじゃない。もうここからは明日でいいじゃない」という誘惑があるでしょうが、なんとか突破しましょう。

 こんなときこそ「自律性」です。ダレようと思えばいくらでもダレることができます。ただ、経済活動が戻り始めたときに、スッと動いていけるかいけないか、それは「時間に余裕がある今」の過ごし方ではないでしょうか。