著者:石田 麻琴

コロナを言い訳に「何かをガラッと変え」テストする【no.1821】

 依然、新型コロナウィルスの問題が続いており、展示会やイベントの自粛、アポイントも依頼しづらい状況かと思います。同時にリモートによる業務化も進んでいるわけですが、「個人的な予定」は意外に優先される傾向も見えるようです。

 現状、仕事に関しては「あー、コロナが不安なんで落ち着いてからにしましょっかー」とか「来月の定例会&懇親会も中止でいっすねー」などというように、どこか「断りやすい雰囲気」があります。ただ、それによって実際の業務量が減ってしまう部分もあり、単に「コロナを理由にして仕事を減らしているだけ」という部分もあるのではないでしょうか。なんてツッコミを入れると怒られるでしょうか。

 もともとやる必要がなかった仕事もあります。「コロナが不安でちょっとやめましょっかー」程度の仕事は、実は以前から「やめたかった」仕事とも言えなくもありません。ただ、この「コロナが不安なんでちょっとやめましょっかー」「今月じゃなくていいですかねー」が繰り返されすぎると、「本当は必要なんだけど目先的には面倒だからコロナ理由で止まってしまう仕事」ができるようになります。

 今は「コロナのおかげでなんだか仕事少なくて楽!」と思っていると、数か月後にはおおきなしっぺ返しがくるような気がするのです。ECMJらしい話になりますが、多くの企業や多くのスタッフがこういった雰囲気を持っている(社会もかもしれません)中で、いかに「いま」次の準備をしておくかが今後の「勝ち負け」を左右するように思えるのです。おそらく、それはとても激しい「勝ち負け」になります。

 今回の新型コロナウィルスの問題でもっとも早く全社員のリモート化に踏み切ったのは、熊谷正寿社長率いるGMOインターネットグループでした。GMOインターネットグループが在宅勤務を決定したのは1月の下旬です。中国武漢でのウィルス発生の話題がメディアに紹介された直後でした。私もGMOさんに数名お知り合いがいますが、「全社員をリモートするまでのこと?」と疑問でした。結果、全社員をリモートするまでのこと、になったわけです。

 もともと社員の在宅勤務の仕組みを整えていたGMOインターネットグループですから、いざ「全社員がリモートワークになったときに、はたしてどうなるのか。機能するのか、システムは問題ないか」を試すことができる機会になったわけです。結果、GMOインターネットグループの全リモート化は成功、熊谷社長のTwitterによれば、オフィス賃料やインフラ費用など数億円の節約効果があったといいます。GMOインターネットグループは昨年12月に「渋谷フクラス」を借りたばかりなのに・・

 もちろんリモート化に成功したことは素晴らしいことなのですが、もし仮に「お客様とのやりとりに失敗した」「社員間のデータの行き来が上手くいかなかった」などのトラブルがあったとしても「新型コロナウィルスの問題で全社員のリモートワーク化にチャレンジしているから」という理由で社内外に言い訳ができたはずです。逆にいえば、この新型コロナウィルスの問題は「社内の何かをガラッと変え、テストする」いい機会だと言えます。

 ビフォーコロナの自社なりの仕事の方法があり、その自社なりの仕事の方法が新型コロナウィルスによってできないので仕事をキャンセルする、時間があく、仕事を早く切り上げる、今までたくさん仕事をされてきたでしょうからそれも結構なのですが、「じゃあ、既存の方法からルールを変えて、いまも動けるように、アフターコロナで加速できるように」と考えるのが、より将来の「勝ち」に近づく「今できること」ではないでしょうか。

 普段の生活だけではなく、仕事においても、我々は「今」何かを試されているのかもしれません。