仕事に時間を合わせるのではなく「時間に仕事を合わせる」。
先日、とある方からこんな言葉を聞いた。「仕事に時間を合わせるのではなく、時間に仕事を合わせるのが大事」。どこかの勉強会での「教え」のようなので聞いたことがある方もいるかもしれない。
*時間に仕事を合わせるの意味
多くの人は仕事に時間を合わせてしまっている、という。だからいつまで経っても残業はなくならないし、休日出勤がなくならない。「いつも時間が足りない」のは時間を合わせてしまっているからかもしれない。「いつも成果に繋がらない」のも合わせてしまっているからかもしれない。
スキルや資本(予算)にはどの会社もそれぞれ。また組織や人材のレベルもそれぞれである。けれども、与えられた時間が「24時間」であることは、どの会社もどの組織もどの人材も一緒。この「1日24時間」の使い方こそが成果を分けていくというのである。まさに「タイムイズマネー」というわけだ。
*時間に仕事を合わせると何が起こるか
仕事に時間を合わせるならば、向き合えるタスクに際限がなくなる。定時外の残業や休日出勤を「可」とする。そうすると休日の時間を削って、睡眠時間を削って、プライベートの時間を削って。際限なくタスクを入れていくことが可能になる。
ただ、仕事だけでは充実した人生にはなりえないということはすでに周知のこと。十分な睡眠時間やプライベートや休日の時間が大切であることも周知の事実である。さらにいわゆる働き方改革のため「定時外」も見直されつつある。
こうなると「必ず時間からあぶれてしまう仕事」が出てしまう。
*あぶれてしまう仕事を理解することの価値
この「時間からあぶれてしまう仕事」が出ることがいくつかの観点で見逃せない価値になる。
「時間からあぶれてしまう仕事」は「そもそも必要のない仕事」なのかもしれない。時間に仕事を合わせると、当然「成果に繋がりやすい仕事」を優先することになる。あぶれた「成果に繋がる?仕事」は「必要のなかった仕事」かもしれない。
そして逆の観点もある。「対お客様」を優先しすぎたとき、「重要度よりも緊急度の高いタスクを優先してしまっている」ことに気づくこともある。本質的な課題を解決することで、現在や未来の課題を削減できる可能性がある。こういったケースの場合は、仕事に時間を合わせる状態がどうしても続いてしまう。
*残業や休日出勤をしないと成り立たない理由は
急成長中のベンチャー企業や閑散期と繁忙期の差があまりに激しい業界は別とする。残業や休日出勤で成り立つ状態は、ビジネスモデルが破綻している可能性がある。これはスタッフや従業員の責任ではなく、経営者の責任。「量」をこなすのは大事だが、付加価値を「量」でカバーするのは困る。
この数年で国が「働き方改革」に大きく舵を切った。これにより、「定時内」ではビジネスが回らない会社が顕在化しつつある。いわゆる「ブラック企業」はその存在がより厳しくなる。そもそもの「パイ」はより小さくなる。ITシステムの活用含め、より「管理」が大切になってくるかもしれない。
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