著者:石田 麻琴

メールの「即レス」は実はもっとも精神衛生上健康的【no.1667】

(2018年9月のコラムです)

 一昨日のECMJコラムではメールの運用方法として、メールボックスの管理について書きました。後編は「即レス」です。常に新しいメールを確認する習慣がついたら、メールの「即レス(=即レスポンス)」を心がけたいものです。

*実は「即レス」が一番仕事がはかどる

 「メールは送信者がメールを送ったときが『本心では』返信が欲しいとき」だと一昨日のコラムで書きました。だから「即レス」を心がけようという話になると、「ブラックかよ」とか「無茶いうなよ」という言葉が返ってきそうです。送信者への心づかいとして「早く返信をしよう」というのもあるはあるのですが、ちょっと違います。実は「即レス」が一番仕事がはかどる、のです。もっと言えば、精神衛生上も「即レス」が良いです。

 メールはどんどん溜まっていきます。受信したメールで「要返信」であるメールも、1日2日経つとフォルダの奥底に埋もれていってしまいます。「要返信」のメールを掘り起こすのも大変ですし、もしかしたら返信を忘れたまま時間が経ってしまうかもしれません。後から「あれ今日までなんだけど!」となると、焦りますし、信用にも影響します。一番レスポンスが簡単にできるのが「メールを読んだとき」なのです。

 頭の中で「あれ返信しなきゃなー」と思っているよりも「即レス」は精神衛生上健康的なのです。

*「即レス」だと的外れなことも言える

 もちろん的外れなことを言ってよいという意味ではありません。適当なレスをしても良いというわけでもありません。ただ、明確に要点が絞られていないレスポンスでも期限まで時間がある状態ですから、修正が効きます。「即レス」を送信者の相手と何度か繰り返しながら、お互いの認識をすり合わせていくこともできるのです。

 メールを溜め込む、溜め込んだ上で遅いレスポンスをすることの怖さは、時間が経過すればするほど「決定的な」返信をしなくてはいけなくなることにあります。時間が経った上で的からズレた返信をすると、もう修正が効かないのです。相手としても「どっからどう認識を修正すればいいのか」という状態になります。レスポンスを自分で考え込むよりも、「即レス」を繰り返しながら良い認識をつくっていけばいいのです。

*とりあえず一時対応でも「即レス」をしよう

 すぐに回答ができないメールもあります。これを調べてくれとか、この資料をつくってくれとか、ここを確認してくれというような、自分ひとりの判断では返信できないメールもあります。他の人への確認にいくらか時間がかかるならば「確認しますので木曜までお待ちください」などと一時対応の「即レス」を入れておきましょう。一時対応のメールでも「返信がきた=メールを読んで対応してくれている」という状況を伝えることになるのですから、メールの送信者は安心することができます。

 たとえ確認事項について社内で進めていたとしても、メールの返信がなければ「確認事項の対応をしてくれているか」がわかりませんし、「そもそもメールを読んでくれたのか」もわかりません。「即レス」は「あなたのメール確認しましたよ」ということを伝えるサインでもあるのです。自動車の運転で右に曲がるときにウインカーを出すのは「自分の車が右に曲がるから」ではなく「右に曲がることを周りの人に伝える」ため、みたいなものです。

 あくまで私の場合ですが、メールボックスのフォルダに「一時対応済み」というフォルダを作成しています。受信ボックスのメール対応をする中で「一時対応したけれど、もう一度メールを送る必要があるもの」を「一時対応済み」のフォルダに入れておくことにしています。受信ボックスは常に新しい未読メールだけの状態にするためです。