先日、母校の中学校の授業に参加させてもらう機会があったんですね。
目的は、大人の話を聞いてそれをまとめること。そしてまとめたものをひとつのストーリーとして劇にすること、とのこと。インタービューを受ける大人の数が少々足りなかったようなので、私でも力になれるならと授業に参加してきました。
*中学二年生。14歳のリアル
まあ、後輩の学生さんと話したのは1時間弱だったので14歳のリアルみたいな「いまの中学二年生はどんなことを考えているか?」みたいなことはわからなかったのですが、先生方から聞いていたよりもはるかに「積極的に」話を聞いていた気がしました。
いまの子どもたちは親御さんや先生方とは別の「大人」と話す機会が少ない。またメールやLINEなどの電子ツールによって「反応をみながらキャッチボールするコミュニケーション」ではなく「言いたいことを場に一方的に投げるコミュニケーション」が主流になってしまっている。だから、「初めて会う大人」と対面しながら会話のキャッチボールをする機会をつくりたい、というのが先生方の狙いだったんですね。
学生の皆さんにお会いする事前の打ち合わせで「あまり学生の側からは質問が出ないと思います」とのことだったので、「見ず知らずの大人に対しての『興味』自体も薄いのかな?」と思っていたのですが、そんなことはない。質問はたしかに少ないものの「積極的に」話を聞こうという前向きな姿勢をビシビシ感じました。
*自分が14歳のときはどうだったか
この授業に参加させてもらって、中学二年生の後輩の皆さんの前で話す機会をもらって考えていたことなのですが、「はたして自分が中学二年生のときにこんな機会をもらっていたら有効に使うことができていただろうか」ということでした。
いま思えば中学二年生ってすごく微妙な時期で、僕らのような中学受験をしてきた生徒にとって中学二年生の夏っていうのは「中学と高校のキャラクターをつくる入り口」みたいなところがあると思うんですね。地元の小学校から上がってきた公立の中学校だと、中学一年生の夏に同じようなことが起きるっぽいのですが、中学受験した子にとっては中学二年生の夏に同じようなことが起こるのではないかと。
14歳の頃の自分を思い出してみると、おそらく「初めて会う大人」を受け入れることはできなかったのではないかと思います。大人の皆さんにどんなアドバイスをもらっても「おじさんが語ってんじゃねーよ。古い価値観の話なんか聞きたくねーんだよ」って。なので、本当に後輩の学生さんの姿勢は意外でした。
*とりあえずできることは、友達を大切にしよう
学生さんから「中学二年生のときにやっといた方がいいことはありますか?」みたいな質問をもらって、まあそこにも中高一貫校出身者ならではのアドバイス的なものをしたんだけれども、偉そうに「友達を大切にしよう。人を大切にしよう。最後は友達が多い人が幸せになる」などど、中学二年生のときの自分が聞いたら「クセー、消えやがれジジイ」と言いそうなことを伝えてしまいました。まあ、過去の自分はどうあれ、いま知っている事実ですし。
もちろん短い時間でしか話せなかったのだけども、私は中学二年生の後輩の学生さんがどんな生き方をしているのかわからなかったし、たぶん14歳のみんなも私がどんな生き方をしているのかわからなかったと思う。そして、毎日新しい発見をしていく中で今回の授業のことも少しずつ頭の中から離れていってしまうのだと思うんだけれども、でも10年15年20年経ってもどっかの誰かは覚えているものなんですよね。中学二年生のみんなは忘れてしまうかもしれないけれども、私はくっきり覚えているから。