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人口減とコスト減の限界が資本主義社会の崩壊をもたらす【no.1631】

 先日、ECMJも属させてもらっているBPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会)という団体の勉強会に参加してきました。今回はその勉強会「新緑セミナー」で学んだことについて書いていきます。

 BPIAはITシステム会社の勉強会が元になっている団体で、ECMJの元取締役・故片貝孝夫氏、故岩佐豊氏が属していたこともあり、私(石田)自身も2011年から所属させてもらっています。一応BPIAの立場としては、常務理事兼企画委員兼広報委員兼研究会ナビゲータという複数の役職に関わらせてもらっています。なぜなら、若くて使い勝手が良いから・・。

*「近未来の社会構造」とは

 BPIAの会長は株式会社シグマクシスの倉重会長。新緑セミナーではほぼ毎回倉重会長がディスカッションの元にもなる講演をしてくれます。今回のテーマは「近未来の社会構造」。難しそうなテーマです。ネットショップというようなミクロではなく、社会全体の変化というマクロなテーマです。

 近未来の社会構造の変化として予測されていること。それは資本主義社会の崩壊です。資本主義社会が成長し続けるためには実はふたつの条件しかありません。ひとつは、人口が増え続けること。人口が増え続けるということは需要が増え続けるということです。消費と労働者が増え続けることになります。これによって経済が成長し続けていきます。

 もうひとつはコストを下げ続けることです。より多くの利益を求めるためにはコストを下げ続けなければいけません。たとえば日本国内で作っていたものが、中国で生産されるようになり、東アジアで生産されるようになり、アフリカで生産されるようになる。コーヒー豆の話などが有名ですが、より安い労働力を求めることによって経済が成長していきます。

*資本主義社会が崩壊する理由

 シンプルにいってしまうと、人口が増えなくなり、コストを下げることができなくなってしまえば、それ以上の経済成長は望めなくなるということです。

 ご存知のとおり、日本をはじめとした先進国では人口減が始まっています。人口動態の話は故岩佐豊氏がよく話してくれましたが、経済成長の過程で起こる2度の人口増の期間(日本でいえば団塊の世代と団塊ジュニア)を越えてしまうと人口減が始まっていきます。この人口減に対しての直接的な対策になるのは移民政策しかありません。やはり出生率増は簡単ではないのです。そして人口減は労働力減よりも消費減に影響を与えてきます。

 コストを下げるということについては、結局世界各地に「より労働賃金の安いところ」を発掘していっているだけですから、どこかで終点を迎えることになります。すでにアフリカまで生産拠点がいききっていることを考えれば終点間近の状態といっても過言ではないでしょう。この次に起こる、というかすでに起こっている事実として労働者の賃金を下げる手段が取られることになります。日本国内でもサラリーマンの平均給与はこの20年間で下落が続いています。

 この問題への対策としてはロボット・AIの活用があげられています。ロボット・AIを使えば長期的に労働コストが限りなくゼロに向かっていきます。コストカットにより一時的な利益増にはなるのですが、ここには大きな問題があります。

 ひとつはロボット・AIは労働力をカバーしても消費はカバーしないということです。供給はカバーできても需要はカバーできません。逆に需要側であるはずの労働者にとって、ロボット・AIの登場によって失業(もしくは低賃金化)する可能性があります。需要は一方的にシュリンクし続けるのです。

 人口減とコスト減の限界。このふたつの事実を加味すると、資本主義社会自体を続けていくことに限界が見えてきているのです。これが資本主義社会の崩壊です。

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