(オートレースマーケティングつづき)
前回のコラムではオートレースの「収益モデル」について考えてみました。オートレースの「収益モデル」は「コンテンツ課金」「広告」「物販」の三つ。「コンテンツ課金」は「入場料」と「投票券売上」の二つから構成され、「広告」は「冠スポンサー」から構成される。ただ、公営競技だからこそのルールもおそらくあり、「広告」のビジネスモデルはどこまで広げていけるのか?は問題な気がします。
さて、オートレースの「収益モデル」。最後のひとつが「物販」ということになります。
*オートレースの「物販」にあてはまるもの
プロスポーツの収益モデルを考える上で大きなポイントになるのが、この「物販」になる。まずはオートレースではなくプロ野球の「物販」について振り返ってみたいと思う。
プロ野球の「物販」は二つの要素で構成されている。ひとつは野球場にきたお客様がビールを飲んだり、お弁当を食べたりする「飲食」の物販。野球場の中で生ビールを飲むと、700円だったり800円だったり比較的割高な価格設定がされていると思うのだけれども、同じ商品でも購入する場所で販売価格と利益率が変わることの典型。この「飲食」の物販の売上は強い「収益モデル」のひとつになる。
そしてもう一つの物販が「グッズ」になる。野球場にきたお客様は飲食をするだけではなく、贔屓のチーム・選手のユニフォームを買ったり、好きな選手の背番号と名前が入ったマフラータオルを買ったり、その他にもキャップ(帽子)だったりリストバンドだったり女性のシュシュだったりと、野球チームに関係する「グッズ」を購入していく。この「グッズ」の収入というのはプロスポーツチームにとって結構大きい。
*「グッズ」収入が収益モデルのキーポイントになる理由
「グッズ」収入は「普通のマフラータオルに選手の名前と背番号」が入っているだけのものだったりするので、まず第一に利益率が高い。グッズを購入する側のファンやサポーターとしても、「マフラータオルは利益率が高いから買わない」みたいなことはないだろう。自分が贔屓にしているチームや選手のロゴが入っているだけで、普通のマフラータオルが「価値のあるモノ」になるわけですね。
また「グッズ」収入には基本的に上限がないこともポイントの一つだと思われる。野球場に入場できる人数の上限は決まっている。球場が満員になってしまったらそれ以上のお客様を入れることはできない。つまりプロ野球の「コンテンツ課金」には上限がある。「広告」についても、球場内で掲載できるスペースには限りがあるし、多くの広告を埋めようとするとひとつひとつの広告価値が下がってしまうという現象がおきてしまう。そして「飲食」の物販。こちらもいわずもがな球場に入場したお客様しか「飲食物」を販売することができない。
その点「グッズ」はプロスポーツの会場に行かなくてもネットショップなどで購入することができる。また購入数に上限がない。すべてのグッズを揃えてもらうこともできるわけだ。
*オートレースの場合で考えると・・
ここまで「コンテンツ課金」「広告」「物販」の3つの収益モデルについて考えてきたが、ざっと考えてみた感じでは、オートレースについてはコンテンツ課金の「投票券売上」と物販の「グッズ」収入にマーケティングのヒントがあるような気がする。この二つには売上の上限がない。もちろん「新規顧客の獲得」があってこそだろうが。
あとは完全無料となっているオートレース場の入場料の鞘を抜くか否かという感じだろう。実際に発表されているオートレースの入場者数や売上データを見ながら、オートレースのマーケティングについて考えていきたい。