「1センチ、1ミリだけでもクオリティを上げよう」という気持ちで日々仕事を続けていくってことが大切だと思うんですね。この「1センチ、1ミリ」を意識できるか、それともただ漫然と続けていくかが5年後10年後に大きな差を生んでいくのではないかなと。そう思うわけです。
仕事のクオリティ。スパッと上がればいいんですけども、なかなか上がらないですよね。いまってすごーく便利というか、すごーく不便な世の中でいろんなものが「見れる」ようになってしまっている。情報化社会っていうんでしょうけど。
コンピュータとインターネット、スマートフォンの普及で、いつどこでも世界中の情報を得られるようになった。それはすごく便利なことではあるんですけども、「見なくても良いもの」も見えるようになってしまった。上手くいっている人とかお金持っている人とか成功している人とか、何かの達人みたいな人の情報に簡単に触れられるようになったわけじゃないですか。
当たり前ですが、昨日今日の努力で達人になったり成功したなんてことはないですよね。僕らにみえてることってあくまで「他人が表に出している結果」の部分であって、裏側にある「積み重ねてきた努力」が見えるわけではない。けれども、毎日スマホで簡単にソーシャルメディアを開いて情報を得ていると、他人の結果の部分ばかりが目につくようになる。そして「上手くいく」方法を探すようになる。
Eコマースでもインターネットビジネスでもリアルビジネスでも同じだと思うんですけども、始める前に「上手くいく」方法を探しだしたり、短期間で「上手くいくだろう」と思ってしまったら失敗してしまっているのと一緒ですよね。「上手くいく」方法なんてのはなくて、あるとすれば日々の仕事をひとつひとつ積み重ねていった結果「上手くいく方法に出会う」というのが正しい表現なのではないかと思います。
仕事って同じことの積み重ねじゃないですか。毎日毎日新しいことをするわけでもないし、新しいことを探していくのが大切なんじゃなくて、同じことをより深く考え掘り下げていくことが重要だと思うんですね。地味で手間で面倒なことを繰り返していくんですけど、そもそも仕事って面倒なことですし、その面倒なことが成果を出す上で大切なわけです。宮崎駿監督がNHKの番組で「めんどくさい」を連発してましたよね。あれは笑いました。結構前のことですが。
仕事を始めて1年目から3年目くらいまでは全く意味のわからない新しい仕事に取り組んでいったりするものなんですが、4年目5年目、私の場合は社会人になってから13年目くらいなんですけど、全くもってやったことがない仕事ってないですよね。少なからずどんな仕事でもいままで経験した知識やノウハウを活用して進めることができます。皆さんの同じだと思います。
このECMJコラムだって、単純に文章を書いているだけですから。特段、新しい仕事でもないですし、小学校で漢字と作文を習って、大学でパソコンのキーボードを習って、それさえあればできます。書くスタイルや書く内容は変わったとしてもベースは変わらないんですね。それはそれでいいことではあるんですが、「熟(こな)そう」とするんですよね。仕事を。
過去の経験を活かせば何となく進められるわけじゃないですか。仕事って。前述したとおり数年仕事をやってれば。でも「いま自分が持ってる知識・知恵・ノウハウ」で仕事が回せると思うと、「熟(こな)そう」とするんですよね。これが良くない。ECMJコラムを読んでくれている皆さんは社会人5年目以上(たぶん15年とか20年以上)の方が多いと思うんですが、仕事「熟(こな)しちゃって」ないですかね。
同じことを繰り返していく中で「1センチ、1ミリだけでもクオリティを上げよう」という気持ちを日々持ち続けられているか。前日を超えるのは「1ミリ」だけでいいんです。これはホント、自戒を込めて。