(オートレースマーケティングつづき)
ここからオートレースのマーケティングについて考えていくんですが、まずオートレースの選手で知っている人、いますか?―――すごく有名な選手がいるんですよ。わかった人もいると思います。森且行選手です。元SMAPの。オートレースと聞くと「あー、あのSMAPの森くんがやってるやつだ!」というくらい、ある意味「森且行>オートレース」の状態が成り立っているですね。
「人はブランドを知り商品(サービス)を知るのではなく、商品(サービス)を知ってからブランドを知る」なんてよかっこいいことをECMJコラムで書いていますが、ことオートレースに関しては「森且行選手(を商品・サービスと表現するのは失礼だが)を知ってオートレースを知る。森且行選手をきっかけにしてオートレースに興味を持つ」という図式が出来上がっている「ハズ」なんですね。まあ、ここを撮り込めていない現実もあるんでしょうけども。
*地方競馬の騎手、競艇選手の名前は知っている?
じゃあ他の公営競技。たとえば競艇(ボートレース)がどうかって話だと思うんですが、競艇選手で知っている人いますか?と質問されて答えられます。まずいないと思うんですよ。昨年(2017年)賞金王の桐生順平選手知っている人ー、通算獲得賞金一位の松井繁選手知ってる人―、公営競技をやらない人だったらまず知らないと思うんですね。
競馬、競輪もしかり。競馬は中央競馬から地方競馬に流れてくる人が多いんですが、地方競馬の騎手と馬の名前で知ってるのありますか?競輪で知っている選手っていますか?ってどうですかね。こちらも競艇同様に一般認知度の高い選手とか馬とかはいないんです。ここはオートレースの非常にアドバンテージがある部分。
また女性選手の活躍という部分もあります。この10年程で公営競技にも女性選手のブームが強くなってきていて、競馬だと有名なのが藤田菜々子騎手(中央だけど)ですよね。競輪は「ガールズ競輪」という女性選手だけで開催するレースをおこなっていて、競艇は数百人の女性選手がいます。女性選手だけが走れるレースや重賞(賞金の高い成績が良い選手が出る大会)もあるんですね。オートレースも例外ではなく、女性選手が10名くらいですかね、います。
やはり男性の選手とは体格の差があるので男性選手と女性選手の混合レースは思うようにいきません。ガールズ競輪のように競輪は女性選手だけでしか開催できませんし、競馬も99%といっていいくらい男性騎手が有利、ただ競艇とオートレースは「機械」でおこなう競技だからか女性選手が男性選手に勝つケースも比較的多いんですね。女性選手が活躍できる競技というのは魅力のひとつではないかと思います。
*「知ってもらうきっかけ」は意外に広いオートレース
もうひとつ「人」というところでアドバンテージのある部分を紹介します。モーターレースからの出身者が何人かいるんですね。バイクレースが好きな方だと青木治親選手や青山周平選手を知っている人もいいるかもしれませんが、いずれもモトGPに出場して世界的に活躍していた選手です。モトクロス競技に子どもの頃から出場していたという選手も多いですね。女性レーサーは元モトクロスのパターンが浸透していて、活躍できる源泉にもなっているようです。
騎手で「元馬術の名選手で」とか聞いたことないですし、競艇も「元ボート競技の名選手で」とか聞いたことありません。競輪は「高校時代、自転車競技のインターハイで優勝」みたいな選手がいるんですが、プロ選手の一流どころで活躍していた人が飛び込んでいるのはオートレースだけではないでしょうか。
そう考えると、「人」という視点では「オートレースを知らない人に知ってもらうきっかけ」はけっこうあるんですね。どんなビジネスでも一番難しい「新規顧客リーチ」という部分です。