Eコマースの世界で「小売り」のネットショップが生き残る方法について書いていきたいと思います。
*商圏の無い世界は「価格競争」と「サービス合戦」になる
インターネットは商圏の無い世界です。日本中どころか世界中のネットショップに瞬時にアクセスすることができます。インターネットはWEBサイト同士の比較が非常に簡単なのです。リアルの商圏のある世界での距離的な感覚を飛び越えていきます。リアルの世界では勝っていた店舗がネットに出た途端に勝てなくなるのは、この「商圏」の概念への認識が少し弱かったのかもしれません。
特に商品を仕入れて販売する「小売り」のネットショップについては、まったく同じ商品がインターネット上にずらずらと並ぶことになります。仕入れて販売しているのですから、商品はまったく同じです。その中でお客様に自社のネットショップでの購入を促すため、どうしても「価格競争」や「サービス合戦」に陥ってしまいます。
販売価格の割引や過剰なポイントの付与、即発送の対応や送料無料、多すぎる決済方法などです。お客様にとっては嬉しい一面だったりもしますが、ネットショップ運営側としては疲弊が避けられません。
*「価格競争」と「サービス合戦」は大資本が有利になる
商品力が横並びになり「価格競争」や「サービス合戦」が展開される市場では資本力のある会社が圧倒的に有利になります。商品の仕入れにおいても、物流においても、ボリュームディスカウントが発生するからです。物量が多ければ多いほどコストは安くなります。「価格競争」と「サービス合戦」により突っ込んでいけるのです。
不利なのは中小企業です。リアルの実店舗ビジネスでは商圏に守られ共存することができていたビジネスでも、インターネットの世界に飛び込んだ途端に巨大勢力との戦場になります。セブンアンドアイやマツモトキヨシなどのメガ小売りのネットショップ、またAmazonが脅威として思い浮かぶところです。
*お客様の目的・用途・課題解決に最速で対応する
中小企業の「小売り」のEコマースが生き残るための道は、お客様がネットショップを利用する「目的」「用途」「課題解決」をキャッチすること、そして市場のトレンド・変化を感じ取りお客様のニーズに最速でアプローチすること。中小企業ならではの機敏さを活かしていくのが良いと思います。
大切なのは「商品を商品として販売しない」ことです。「小売り」のネットショップの運営というと商品数を増やしていくことがひとつの戦略ですが、それだけでは「価格競争」と「サービス合戦」の餌食です。ポイントになるのは「商品」の外側にある「お客様はなぜこの商品を購入するのか」「お客様はなぜ自社で商品を購入するのか」を探求できるかです。お客様からの「問い合わせ」や「ご要望」「商品の買われ方」などは市場に埋まっている「潜在需要」「潜在ニーズ」をつかむためのヒントになります。小さな変化でも「なんでそういう問い合わせがあったのだろう」「どんな使われ方をしているのだろう」と疑問を持つところから始めてください。
また先に紹介した「問い合わせ」「ご要望」「商品の買われ方」を「時間があるとき、思いついたとき、余裕があるとき」に確認するのはもったいないことです。不定期や1ヵ月に1度といった周期ではなく、「実行数値管理表」を使って毎日小さな変化を探していってください。チャンスや仮説がみつかったできるだけ早くテストです。「潜在需要」「潜在ニーズ」に最速で対応できるか否かが鉱脈のひとりでゲットできるか、みんなで分け合うのかに関係していきます。
「小売り」のEコマースは簡単ではないですが、決して悲観をするほど飽和しているわけでもありません。