Eコマース事業を推進させるための体制づくりについて書いていきたいと思います。
ネットショップ(もしくはホームページなどWEBサイト)を立ち上げたけれど責任の所在も更新の仕方もわからず放置状態になってしまっている会社も多いのではないでしょうか。Eコマース事業専業の会社でなければネットショップの運営は「既存チャネルにプラスオン」になる仕事です。正直にいうと社内のメンバーとしては「やりたくない」仕事です。
社長や経営陣の鶴の一声でスタートしたものの進捗が進まないEコマース事業の謎に迫ります。
*まず必要なのはEコマース事業を進めるための「評価制度」
ネットショップは立ち上げた。でも立ち上げただけでネットショップが成長していくわけではありません。お客様にネットショップの存在を知ってもらい、商品とサービスに興味を持ってもらい、利用をしてもらうためにネットショップの運営をしていかなければいけません。
最初に検討したいのが、Eコマース事業の「評価制度」です。社長や経営陣が「これからネットショップも頑張っていきましょう!みんなよろしく!」といえば、スタッフの皆さんは建前では「わかりました!頑張ります!」といってくれるかもしれませんが、本音では「どうすればいいんだろう。仕事が増えて面倒だな」と思います。人間ですから当たり前です。
また実店舗を運営している会社がネットショップを強化する場合、実店舗の売上をネットショップが食ってしまう可能性もないわけではありません。そうなるとネットショップの存在自体が「一部のスタッフにとっては目障りなもの」になりかねません。大切なのは「ネットを強化することで実店舗にもシナジーが起こる」ようにすることなのです。
*ネットショップの売上をどこに付けるのか
「評価制度」のひとつの方法は、ネットショップの売上をそれ自体で評価せず、実店舗や各部門に売上を分割するという考え方です。これならばEコマース事業の売上が伸びれば伸びるほど実店舗や製造・営業・管理など各部門にも数字が落ちていくわけです。会社の組織全体でネットショップを伸ばしていこうという雰囲気をつくることができます。
またネットショップの売上の一部を実店舗や各部門に振り分けるという方法もあります。たとえばネットショップの売上の2割を実店舗や各部門に振り分ける。現実的にはこれ以上かこれ以下の影響かもしれませんが、明確にルールを決めることで少なからず「会社全体として協力する」体制をつくることができます。
Eコマース事業は会社全体のスタッフが関わる仕事です。「実店舗のスタッフは実店舗の売上で評価」なので「ネットショップのスタッフはネットショップの売上で評価」というような「既存の評価制度の延長」は避けた方が良さそうです。
*兼任のスタッフか専任のスタッフなのか
Eコマース事業が成長する会社はほとんどネットショップの専任担当をつけています。専任担当者がいれば着実に改善活動を進めていくことができますし、責任が明確になるので意思をもって事業を展開していくことができます。ただ現実には「専任担当をつけられない」会社も多いのではないでしょうか。特にEコマース事業の売上が少ないうちはなかなか勇気がいる選択だと思います。
社内でプロジェクトチームを組み、他の業務との兼任でネットショップ運営をする場合、大切なのは「責任を明確にすること」です。このとき、「売上目標を立てること」と「ネットショップ運営をする時間を決めること」このふたつだけは外したくない部分です。このふたつが決まっていないと「好きなときに、時間があるときに、暇なときに」ネットショップの運営をすることになります。優先順位は下に下に落ちていくわけです。
「Eコマース事業を強化していきたい!」と常々口にしている社長と経営陣の皆さん、まずはここをきっちり押さえてください。