実店舗でもネットショップと同じように「データをとって毎日カイゼン」ができる時代がくる、という話をしていきます。
*ネットショップで取れて実店舗で取れないデータ
ネットショップで取ることができて実店舗では取ることができない代表的なデータは「アクセス」のデータです。ネットショップへのアクセス、つまりネットショップに何人のお客様が来店したかはGoogleアナリティクスやネットショップのシステムを閲覧することで容易に確認することができます。
実店舗にどれくらいのお客様が来店したかのデータを取得するのは簡単ではありません。リサーチの会社を入れるか、専用のシステムを導入するかです。ネットショップのアクセスデータのように「大企業、中小零細企業、個人も関係なく」分析できるものではないのです。
たとえば飲食店のように「来店したお客様の人数=サービスを利用するお客様の人数」であればアクセスのデータを取ることができます。ただコンビニエンスストアのように「買わないで帰る」お客様がいる実店舗ではお手上げです。
ネットショップとは異なり、実店舗では「アクセスしたけれど買わなかった」お客様のデータ分析をすることができません。
*実店舗のアクセスデータを取得する簡単な方法
ただ簡単に実店舗のアクセスデータを取る方法がないわけではありません。一般化、汎用化されていないだけでいくつかの方法があります。
ひとつは顔認証のシステムを使う方法です。実店舗の来店者(=アクセスした方)の顔画像を撮ることによって、過去に来店したことがあるか、購入せず退店してしまった方なのかを分析できます。顔の画像がそのまま顧客IDになるので、リピート来店やリピート購入の分析も可能になります。
もうひとつはWi-Fi接続のシステムを使う方法です。実店舗に来店するお客様が基本的に携帯電話を持っていると捉え、Wi-Fi接続によってアクセス数を分析します。もうひとつはiBeaconを使う方法です。理屈はWi-Fi接続とほぼ変わりませんが、Bluetoothを活用している点が異なります。ただ、Wi-Fi接続もBluetoothもユーザーのスマホ環境に依存するため、普及しづらいところが悩みです。現実的には顔認証でしょうか。
*実店舗でアクセスデータが取得できると変わること
実店舗でアクセスのデータが取得できるようになると、販促やキャンペーン、そして広告の効果が数字として可視化されることになります。スマートフォン経由の販促と組み合わせればより詳細な効果を知ることができるはずです。また先に書いたとおり「アクセスしたけれど買わなかった」お客様のデータも可視化されることになります。
販促、キャンペーン、広告また「アクセスしたけれど買わなかった」お客様のデータというように、日々の施策や実店舗の状況を数字でみることができるようになると、検証のサイクルが回り始めます。データを元に次の仮説を立て、実際にアクションをしてみてその効果を数字で検証することができるようになります。まさにネットショップのマーケティングと同じ「データをとって毎日カイゼン」の状態です。
―――これまでほとんどの実店舗ではPOSレジの仕組みを使った「受注データ」の管理だけが可能でした。インターネットではすでに「顧客データ」「行動履歴データ」の分析が可能です。顔認証のシステム(もしくは他のシステム)の一般化がいつになるかわかりませんが、いずれ実店舗でも「顧客データ」「行動履歴データ」の分析ができるようになるはずです。
オムニチャネル戦略とはリアルとネットの「顧客データの統合」に本丸があります。いまネットに力を入れている会社は、「ネットの強みがリアルの強み」になる日も近いのではないでしょうか。