著者:石田 麻琴

正月休み後は「福袋」と「バレンタインデー」の販促企画に注目【no.1510】

 ネットショップを運営していく中で「お客様に楽しんでもらうための仕事」つまりリピーターを増やすための仕事はふたつしかない。

 ひとつは商品を充実させること。ヒット商品につながる新しい商品を発売したり、定期的に新商品をアップして飽きられないようにする。もちろん売れ筋の旧作商品をトレンドに合わせて再発売したり、在庫を切らさないように仕込んでおくことも大切な仕事。

 もうひとつは販促企画を充実させること。セールやクーポンの配布、送料無料のイベントなどがわかりやすいところ。ただ「安くする」「値引く」はどのネットショップでもできることなので、自社の顧客層にあった見せ方をして、販促企画に「参加」してもらうことが大切。

 年末年始のお休み明けに注目したいのは「販促企画」です。

*「福袋」の販売状況からわかること

 「福袋」はネットショップへのお客様の信用のバロメーターである・・とサラリーマン時代の社長から教えてもらったことがある。本当にそうだ。「福袋」は自社のネットショップに対する信用のバロメーターにもなるし、競合他社のネットショップがお客様にどれくらい信用されているかを知るためのバロメーターにもなる。

 なぜ「福袋」でお客様の信用をはかることができるのか。それは「福袋の中身はお客様からわからない」からである。福袋という商品の特性自体が、お客様の信用と関係しているわけだ。

 お客様は福袋にどんな商品が入っているかはわからない。事前に「1万円相当の商品が入っています」などと告知をしていても、結局福袋の中身はネットショップ側が自由に決めることができる。もしかしたら在庫の商品ばかりが入っているかもしれないし、もしかしたら福袋の注文を受け付けた後に中身を決めているかもしれない。あらゆる可能性やリスクを知った上で、お客様は「福袋」を買う。そこにはネットショップへの信用しかない。

 たとえ小規模なネットショップだとしても、「福袋」が売れるということはお客様から信用があることの証拠になる。またもうひとつ言えるとすれば、「福袋」の中身はけっして手を抜いてはいけない。通常販売以上に信用を失ってしまう。

*「バレンタインデー」の企画の取り組みでわかること

 年末年始のネットショップの販促企画の時期が終わると、次の大きなイベントはバレンタインデーになる。バレンタインデーが2月中旬であることを考えると、1月下旬には販促企画のページをアップして注文を取り始めたい。そう考えれば、バレンタインデーの販促企画の準備は1月上旬には進めていなければいけないはずだ。正月休みのハズである。

 商材がバレンタインデーに向かないネットショップはさておき、バレンタインデーの販促企画にきちんと対応できているネットショップはスケジューリングが上手く回ってるネットショップということになる。スケジュールから逆算すればネットショップの繁忙期である12月中にバレンタインデー企画の準備を進めなければ中途半端な販促になってしまうのだ。

 12月は年末商戦の時期だ。ショッピングモールでも様々な販促企画イベントが立ち上がる。受注が増える。物量が増えれば出荷作業も増える。おまけに年末年始の休暇もある。フロントヤードの「売るための仕事」に使える時間がどうしても少なくなってしまう。

 実は1月と2月というのは12月の「売るための仕事」の仕込みが効いてくる時期なのだ。12月にバックオフィスの仕事ばかりになってしまったネットショップは対応することができない。その点でいうと、バレンタインデーというのは思ったよりも販促企画に力を入れられる競合ネットショップが少ない「スイートスポット」のタイミングになるのだ。