著者:石田 麻琴

あなたは「いつでもできる」病にかかってはいないだろうか。【no.1472】

 あなたは「いつでもできる」病にかかってはいないだろうか。

 販促企画のアイデア、商品ページの強化、競合ネットショップの調査や対策、広告の効果測定、スタッフ教育、物流ラインの見直し・・ネットショップの運営業務だけではなく、自分の普段の生活においても「いつでもできる」病にかかってはいないだろうか。

 「いつでもできる」病は本当におそろしい。この病気のおそろしさを改めて皆さんと共有したいと思う。

 まず「いつでもできる」病のおそろしさは、「その必要性」や「具体的な着手の方法・手順」が自分の頭の中に入っていることにある。その気になれば「いつでもできる」ことがわかっているからこそ、「今日やらなくてよいこと」に化けてしまっているのだ。

 また自分の頭の中に常に存在していることによって「自分が常に気にしている」状態にある。それだけで「やった気分」「取り掛かっている気分」になってしまうというおそろしい病気なのだ。「知っている」「わかっている」と「実行できている」ははるか遠い。それを本質的にはわかっているはずなのに「いつでもできる」病は、「わかっている」と「実行できている」の距離の認識を近いものにしてしまうのだ。

 「いつでもできる」病はおそろしい。「いつでもできる」と思っていることは、いざやってみると「まったく的外れ」だったりしてしまうからおそろしい。自分がナイスアイデアと思っていても、それが必ず結果につながるかはわからない。自分が売上につながると思っていても、それが必ず売上につながるかはわからないのだ。

 「いつでもできる」病は、物事の鮮度を悪くしてしまう。物事のタイミングを失えば、成果は出ない。アイデアの問題なのか鮮度やタイミングの問題なのかがわからなくなってしまう。「いつでもできる」病は自分の選択肢の幅をせまくする。「これをやりさえすれば大丈夫だ!」とおもって「いつでもできる」病にかかっているわけだから、他の選択肢を持たないようになる。結果、「いつでもできる」病に自ら依存していくことになる。「いつでもできる」病は「失敗」をこわがらせて人の中にはびこるのだ。

 「いつでもできる」病は、自分の中に「余裕」が生まれたときに起こる病気だ。「いまの売上でも大丈夫だ」とか「このくらいなら上司に突っ込まれない」とか「どうせ他の部門がうまくいっている」とか、人の気持ちがゆるんでいるときに「別にいま頑張る必要ないじゃない」と人の頭に寄生しようとする。「いつでもできる」病がおそろしいのは、今日や明日ではなく「いつでもできる」の気持ちを「1ヵ月」「半年」「1年」とどんどん引っ張っていってしまうことだ。そして「いつでもできる」病はより「失敗」をこわがらせ、人を汚染していくのだ。

 「いつでもできる」病が侵食すると自分の中の「いつでもできる」のレベルがどんどん下がっていってしまう。最初は自分にとって手間がかかる課題から「いつでもできる」病にかかっていくが、次第に「昔は簡単にすぐに対応していたこと」も「いつでもできる」状態になっていってしまう。デスクの整理整頓やトイレ掃除、ちょっとしたメールの返信、同僚への情報共有・・スパッと終わらせられたことが「いつでもできる」状態になぜか変わってしまう。しかも「いつでもできる」病は大したことじゃない仕事を「めちゃくちゃ大したこと」に思わせてしまうのだ。

 あなたは「いつでもできる」病にかかってはいないだろうか。

 人間だから人生の折々で「いつでもできる」病にかかってしまうことは仕方がない。ただ、自分に目標や目的があるのなら「いつでもできる」病とうまく付き合わなければいけない。「いつでもできる」病にかかりそうな自分を打破するために必要なのは「決めたことは必ずやる。すぐにやる」という「自分ルール」の徹底だ。