著者:石田 麻琴

自分と同じか上の世代を顧客にするのが残念だがビジネスの定石【no.1430】

 知人が役員を務めている会社「UUUM株式会社」が株式公開をしたということでWEBサイトを見ていたら「U-FES」なる企画を開催していることを初めて知りました。

 UUUM株式会社はご存知の方もいるとおりyoutuberのマネジメントをおこなっている会社なんですね。日本でもっとも有名だと思われるヒカキンが最高顧問を務め、youtuberのサポートやインフルエンサーマーケティングをおこなっています。

 数年前から話題になっているyoutuberなのですが、正直、ネットのごく一部だけの人間がワーキャーワーキャー言っている印象を勝手にもっており、私自身はヒカキンとはじめしゃちょーの名前くらいを知っているだけでそのコンテンツについてはまったくわかりません。

 ただyoutuberのマネジメント会社が上場するということは市場からの未来への期待値もさることながら、現在進行形で市場が拡大していることの証拠でもあります。Youtuberとyoutuberマーケティングについてまったくシカト状態でいた自分に危機感を感じました。そしてWEBサイトで確認した「U-FES」なるイベントです。

 もしも、もしもですよ。この「U-FES」に自分と同世代(30代後半)やその上の年齢層のユーザーが大挙して参加しているとしたら、それは完全に時代が変わっているということです。自分の知らぬ間に知らないところで。もしかしたら、の不安を抱えつつ2016年の「U-FES」の動画をクリックしました。

 結論からいうと、現状としては私の心配は杞憂でした。「U-FES」に参加しているユーザーは若い女性が多く、ヒカキンやはじめしゃちょーの名前を書いた団扇を振っていたのをみて、ジャニーズの顧客層がyoutuberに流れているのでは?という錯覚を覚えました。youtuberの主たるターゲットであると思われる子どもたち(小学生~中学生)の存在はあまり確認できません。とにかく10代後半~20代前半の女性が目立つ感じでした。

 少しほっとしました。まだyoutuberを中心としたマーケティングの時代はきていないぞ、と。

 当然、youtuberからのマーケティングが今後一般化するかもわかりませんし、リアルとネットでマーケティングの分断が進むかもしれません。Googleやyoutubeの匙加減ひとつでyoutuberのマーケットはなくなってしまう可能性もゼロではありません。Youtubeはともかく、動画のマーケットが今後縮小していくことはないでしょうが。

 それでも、自分があまり興味を持っていない、マーケティングの一環として勉強をしようとしてもなぜこれは人気があるのか、どういう効果があるのか、どこから情報を得ているのかがいまいちピンとこない、これは事業をおこなっている者としての過渡期でもありますし、悲しいかな時代から遅れ始めている一線なのかもしれません。

 ―――と世の中の流れやデジタルマーケティングの流れに対して少しネガティブな経験を紹介しましたが、ここで言いたいことは何かというと「人は自分の世代と同じ、もしくはそれ以上の顧客を対象にしたビジネスしかできない」ということです。

 年齢とともに考え方も環境も変わり、若い世代には簡単にキャッチアップできなくなります。そしてキャッチアップするのは無理です。一部の天才的な肌感覚をもっている人間は別として、本質的には自分と同じか上の世代を顧客にするのがビジネスの定石です。私たち的には「最新」と思っていることでも若い世代からするとすぐに「古い」になります。建前上はお付き合いしてくれるでしょうが。

 もしも自分より若い世代をビジネスの顧客にしたい場合、可能な方法がひとつあります。若い世代の人間を雇ってマーケティングを任せるという方法です。ビジネスの原理原則を伝えた上で、マーケティングの具体策の一切を任せます。たとえ自分には理解できない方法でも口を出してはいけません。若い世代は生きてる世界が違います。

 おわり。