ネットショップのビジネスを成長させるために大切なのが「市場」を知る、ということです。
ネットショップの世界には商圏がありません。沖縄にあるネットショップには北海道からも注文がきます。営業時間だけではなく、夜中も土日も24時間注文がきます。また北海道だけではありません。中国やアメリカなど世界中から注文がくる可能性があります。実店舗のような商圏がベースになっているビジネスとは概念が異なるということです。
*実店舗のお客様にいわれたこと。
あるネットショップ事業者さんの話です。その事業者さんは実店舗を持っています。実店舗のビジネスがベースにあり、その上でネットショップに販路を拡大している事業者さんです。実店舗にこられているお客様にこう言われたといいます。
「インターネットで『お米』って検索したけれど、あなたのお店がでないのよ」
そのお客様にとっては「お米屋さん」といえば商圏の中にあるその実店舗のことなのでしょう。「インターネットで探したのに出てこなかった」は、インターネットの世界をかなり狭い範囲で捉えてしまっているということです。インターネットに通じている方にとっては常識的なことですが、この「商圏」に対する勘違いは笑いごとではありません。
*ネットショップの世界は全国大会。ライバルはどこかにいる。
ネットショップのマーケティングを進める上で大切なのは、この「商圏」の概念をしっかりとおさえて改善活動をしていくことです。ネットショップは「全国大会」なのですから、いま自分が知っている競合のネットショップ以外にも、どこかにライバルがいるはずです。もしかしたら明日、自分が知らないところでライバルのネットショップが立ち上がるかもしれません。
このような市場の中で売上をつくっていくためには、いくつかの考え方があります。まず基本線はネットショップとしての「違い」を明確にすることです。対象顧客を絞り込み専門性を高めます。ニッチでもお客様の数が少なくても、限られたお客様に圧倒的な指示をいただけるようなコンセプトを作るのです。
ちまたのネットショップのコンサルタントが提唱しているのはこのアイデアです。間違いではありません。ただ「違い」にも限界があるのが現実です。それでもネットショップの数が増え続けるのが事実。ある程度の「違い」を出した上で、中小企業の中でも資本力の差でネットショップの勝ち負けが決まっている状態にあります。
*インターネットを使って、ローカルを狙う。
ネットショップには商圏がない。これがインターネットでビジネスをおこなうメリットでありデメリットです。メリットは対象となる顧客が多いこと。ニッチな市場のお客様を日本中から集めてくることができます。デメリットは全国のネットショップと比較されてしまうことです。値段やサービスはもちろんのこと、いまではコンセプトも比較の対象になります。
ひとつの勝ち筋はインターネットを使って、ローカルにお客様を引き出すためのマーケティングをおこなうことです。実店舗ならばWEBサイトで存在を知ったとしても、そのお店にいかなければ商品に触れることができません。購入する上で商談が必要になる商材ならばWEBサイトで存在を知ったとしても、アポイントを入れなくてはいけません。
こうなると必然的にライバルの数が限られます。インターネットを使って地域ナンバーワンを強化していくのです。そう考えると、純粋なネットショップよりも実店舗やBtoBビジネスの方が、これからのインターネット戦略では可能性があるのかもしれません。