(前回はこちら)
前回は<8.多商品、多店舗展開のポイント>について解説をしました。広告を使わずにインターネット上で認知を拡大させるには「商品を増やす」か「情報を増やす」かの二択しかないこと。データ移行、在庫管理、担当者という多店舗展開にチャレンジする際の課題について紹介をしました。最終回は<9.人財育成>です。
<9.人財育成>
*ネットのマーケティングができる人財を育てる。
Eコマース戦略概論としてここまで紹介をしてきたとおり、インターネットのマーケティングはこれまでの既存のマーケティングの概念とは考え方が異なるわけです。この「ネットで成果を出す考え方」を持つスタッフを社内に増やさなければ、インターネットでの成功は難しいのではないかと思います。
そしてこの考え方を伝える役目は既存のマーケティングの概念で仕事をしている社員は教えられないはずです。まずは自分でEコマースであったり、ホームページであったりを触って、「データをとって、毎日カイゼン」を実践してみるしかないでしょう。
*ネットのマーケティングの考え方。
「どうやったら数字が上がるか」がわかれば「どうすれば数字が上がるか」がわかる。これがインターネットのマーケティングの考え方です。マーケティングの軸が「何をやるか」ではなく「やったことがどうだったのか」を判断するところに寄ります。既存のマーケティングの概念と異なる部分です。
インターネットのマーケティング、Eコマースのマーケティング、デジタルのマーケティングは「客観的」で「定量的」なものです。既存のマーケティングの概念は「主観的」で「定性的」なものです。
*「客観的」で「定量的」とはどういうことなのか。
Eコマースのマーケティングの軸となる「データ」は客観的なものです。お客様が実際にWEBサイトにアクセスしてくれたり、ネットショップに購入してくれた履歴は、そのままお客様からの「客観的な評価」といって良いでしょう。自分たちが良いと思う「主観的」ではなく、お客様の評価(=データ)という「客観的」を活用するのです。
もうひとつ、データは「定量的」なものです。自分たちがおこなった施策の効果が100だったのか1,000だったのかを明確に教えてくれます。データがなければ「定性的」。良かった、けっこう良かった、すごく良かった程度の判断にしかなりません。
*改善を繰り返す。継続する。
Eコマースで成功するためには改善を繰り返さなければいけません。改善とは、言い換えれば「二度手間、三度手間」ということです。同じところを何度も何度も掘り下げていきます。実践する、データをみる、仮説を立てる、改善する、この繰り返しです。これを毎日続けなければいけないので大変です。
Eコマースは全国大会。一番総取りの世界です。2番手以下には1番から落ちてきたものがポロポロと転がっていくだけ。大切なのは自分たちがEコマースという大きな市場の中で「何だったら一番になれるか」を考え、そこを徹底的に「やり切る」ことです。やり切ることで尖りが生まれ、他と比べられないネットショップに成長していくことでしょう。そしてその頃には、ネットショップの担当者は一流のマーケターになっているはずです。
―――以上、10回にわたって「今年度は『本気』でネットを活用!Eコマース戦略概論」を書いてきました。週末の土日が終わればGWは終了です。年度始まりは終わり、本格的な仕事ムードに突入します。「本気」になることはできたでしょうか?
おわり。