(前回はこちら)
前回は<6.商品企画の考え方>について解説をしました。個人的にはEコマースでは自分たちの売りたいものを売るのが良いと思いますが、ひとつの観点として「市場」を無視するのは危険です。「うちの売れ筋は昔からコレだから」というように固執せず、市場で勝てる商品を見つけていくのが良いと思います。インターネットは「商圏ビジネス」ではなく「全国大会」であること。これを忘れてはいけません。7回目は<7.競合分析をおこなう>です。
<7.競合分析をおこなう>
*ターゲットのふたつの絞り方。
商品企画と同じく、競合分析も市場を見ることに繋がります。中小企業がEコマース事業を始めた場合、資本力のある大手企業に勝つことはなかなか難しいですから、「市場のどのポジションを取って、成長をしていくか」を考えなければいけません。まずはEコマース事業を早く軌道にのせ、継続していくためにも「いま存在している市場」を狙っていくのが良いと思います。
ターゲットの絞り方はふたつあります。ひとつは、規模の近いネットショップの売上をそのまま取ってしまうという考え方。もうひとつは、特定のジャンルに特化して他のネットショップ群から少しずつ売上をとっていくという考え方です。インターネットの戦略としては、どちらかといえば後者が向いているといえるでしょう。
*ショップをターゲットにするか、商品をターゲットにするか。
上記の考え方でいくと競合分析の方法も変わってきます。前者の規模の近いネットショップの売上を自社に引っ張ってくると考えた場合、競合分析の対象は「ネットショップ」であることになります。それに対して後者の特定のジャンルに特化する場合はEコマースの市場で販売されている同ジャンルの「商品」が競合分析の対象だということになるのです。
理屈上は紹介したとおりですが、現実には特定のジャンルのネットショップを競合分析の対象にすることが多いように感じます。まずはひと店舗、自社のネットショップの「競合」となるショップを定義しましょう。
*「お客様になり切る」ことで、戦略が見えてくる。
競合分析はひと店舗からスタートしていきましょう。ネットショップのWEBサイトをチェックしたり、商品画像のクオリティをみたり、メールマガジンを読んだりすることは複数の店舗を競合ネットショップと定義していたとしても実践が可能です。ただ、もし競合店舗の「お客様になり切る」としたら、複数のネットショップの「お客様」になることは簡単ではないと思います。
競合分析によって知りたいのは、競合ネットショップの販売戦略の「流れ」です。競合のネットショップがどのようなマーケティングを行なっているのか、その「変化」がみたいのです。ですから、「好きなとき」「できるとき」「やりたいとき」に分析をするのはご法度です。ここは数字の分析と概念は一緒です。
*競合の施策と成果を「感じる」。
できれば競合ネットショップが「どんな施策を打ったか」だけではなく、その施策が「どんな成果を生んだか」も分析したいところです。たとえば競合ネットショップで新しい商品が発売されたとします。翌日、「新商品の在庫が追加されました!」とメールマガジンが届いたとしたら、競合の新作商品が当たっていることのサインではないでしょうか。
競合ネットショップのお客様になり切ることで、商品の変化、サービスの変化、販促企画の変化を読み取ることができます。繰り返し発信される情報は販売戦略の中で「成果が出ている」ことの表れです。
―――では次回の8回目は、<8.多商品、多店舗展開のポイント>について解説をしていきます。