前回はEコマース事業における「会計数値」について紹介をしました。もうひとつの数値が「事業数値」です。「会計数値」「事業数値」ともに勝手に私が呼んでいるだけなので気にしないでください。今回はEコマース事業の特徴ともいえる「事業数値」について紹介をしていきます。
*売上(目標)
こちらも前回と同様に月商1,000万円のネットショップを想定して数値の解説を進めていきます。
*受注件数
お客様に購入していただいた件数です。「買い物カゴ数」という表現をすることもあります。実店舗のPOSレジとも同じように、決済の回数だと考えてもらえれば結構です。お客様の客単価が平均1万円とすると、月商1,000万円であれば月1,000件の受注をいただいていることになります。
*客単価
ネットショップを利用したお客様が1決済あたりいくら購入してくれているのか、その金額を平均したものが客単価になります。上記、受注件数とは逆の発想で考えると、月商1,000万円で月の受注件数が1,000件であれば「1,000万円÷1,000件」で客単価は1万円ということになります。
*セッション数
ネットショップに来店したお客様の数です。アクセスという表現をするとき、3つの軸があります。「セッション数(=訪問者数)、ユニークユーザ数(UU数)、ページビュー数(PV数)の3つです。同じ人物がネットショップに2回出入りした場合、セッション数は2、ユニークユーザ数は1です。ページビュー数は閲覧したページの総和になります。
*転換率
コンバージョンとも呼ばれている数字です。主に「受注件数÷セッション数」で算出することができます。100人がネットショップにアクセスしたとき、何パーセントのお客様が購入してくれるのかという割合です。
◆もし、現在の月商が100万円だったとしたら・・
仮に現在の月商が100万円。受注件数が月100件。客単価が平均1万円。月間のセッション数が1万人。転換率が1%だったとします。もしも1年後に月商1,000万円を目指すとするならば、現在の数字から月商と受注件数とセッション数の3つの項目を単純に10倍すれば目標売上に到達することになります。
まず、ここでのポイントはセッション数を10倍にすることができるかというところです。逆にいえば、セッション数を10倍にすることができれば、月商1,000万円に到達させることが可能になるというわけです。この場合、月商1,000万円に対して不足している月間9万セッションをいかにして集めるかが成長のキーポイントだということになります。
もっともシンプルな方法は、インターネット広告を使うことです。インターネット広告を使って月間9万セッションを補填し、なおかつ客単価と転換率が変わらなければ月商1,000万円が達成できることになります。しかし、多くの場合、広告からのアクセスでは客単価も転換率も通常の数値よりも落ちてしまうのが現実です。
広告からアクセスしたお客様よりもリピーターのお客様の方が優良顧客であることは確かです。また、広告からアクセスしたお客様よりも自分で情報を探してアクセスした「インバウンド」のお客様の方が優良顧客であることも確かです。このあたりは定期的にデータをウォッチしながら、自社のネットショップの成長の画を更新し続けていきます。
―――以上、ネットショップの「会計数値」「事業数値」を紹介してきました。「月商●●●万円になるとはどういうことなのか」。ぜひ数字の上でのシミュレーションを行いながらイメージを膨らませていってください。