先日、とあるセミナーに参加しました。講師の先生が話の中で「8割経営」や「8割仕事」という表現をされていたのが印象に残りました。頑張り過ぎず、急ぎ過ぎず、やり過ぎず、仕事もほどほどにねという内容だったのですが、「なぜ8割が良いか」を私の解釈を含めて紹介したいと思います。
1.緊急性の高い仕事ばかりに手をつけてしまうから
仕事には「緊急度」と「重要度」のふたつの軸があります。本来であれば「重要度」の高い仕事から優先しておこなっていくのがセオリーですが、人はどうしても「緊急度」の高い仕事から手をつけがちです。ないがしろにされやすいのが、実は「重要度」が高いのに「緊急度」が低い(と、思われている)仕事。たとえ「緊急度」が低くても「重要度」が高ければ優先して取り組まなければいけません。ここに「2割」分を取っておきたいわけです。
2.仕事にテマヒマをかけられなくなるから
少し1番とも似ていますが、時間に余裕がないと仕事にテマヒマをかけることができなくなります。このテマヒマというのは実はお客様への付加価値です。「8割」で仕事をおこなっていれば、「2割」分は無料のサービスにあてることができます。お客様にお手紙を書いたり、無料のメールマガジンを発行したり、オフィスに訪問をしたりしてサービスに付加価値をつけることができます。仕事は価格以上の対価を与えてこその価値ですし、それがリピートや口コミにつながります。その原資をつくるためには「8割」で仕事をおこなうことが重要です。
3.周りに迷惑をかけてしまうから
「8割」で仕事を進めようとしたとして、必ずしもイメージしていたスケジュールで仕事が進むとは限りません。「8割」だと思っていたものが「6割」で済むこともありますが、どちらかといえば思わぬミスやトラブル、思い違いなどにより「10割」を使わなくてはいけなくなることの方が多いのではないでしょうか。もとから「10割」で仕事をしていると、トラブルが起きれば「12割」を使わなければいけなくなります。自分が持っているのは「10割」なのですから、その負荷は上司や同僚、後輩、または家族などにいってしまうことになるのです。
4.仕事に「付加価値がある」ということだから
上記を総合したまとめのような話です。そもそも毎日「10割」で仕事をしなければ売上が出ない、利益が出ないような会社、仕事にはあまり付加価値がないということです。そういった仕事、そういった会社はただ労働時間だけが伸びていってしまうだけです。「8割」の仕事で会社が回るからこそ「付加価値がある」、「2割」を使えるからこそさらに「付加価値を作れる」というわけなのです。「8割仕事」を継続できるなら市場での競争力は増していきますし、「10割仕事」の先には滅亡だけが待っている、というのです。
この話を聞いて自分自身、少し「はっ」としました。自分は目先だけを頑張り過ぎてはいないだろうか、「2割」を残して、お客様の突然の要望に応えられているだろうかと。
ここからは「8割経営」「8割仕事」を目指すために、我々が今日からできることです。自身のスケジュール帳に「空白の予定」を入れましょう。内容はとくに決めなくても良いと思います。もしも名前をつけるとするならば「2割」です。何をやるかを決めなくても、まずは「2割」のバッファを取ることが大切です。人は頑張ってしまうので、決めないとどんどん「10割」に近づいていってしまいます。