著者:石田 麻琴

いまスケジュール帳に「インターネットの活用」の時間を書きこもう【no.1248】

(2017年のECMJコラムのリライトです)

 以前、こんなことがあった。

*アウトバウンドをしないようにするためのネット戦略

 とある会社の相談に伺った。上場企業だから、それなりの規模の会社だ。聞くと、インターネット経由の新規の問い合わせを増やしたいとのこと。インバウンドのアクセス、流入を増やすためのWEBサイトの戦略と運用改善のコンサルティングについて提案をした。

 反応は上々だった。通常はインバウンドの原理と運用改善の意味をイマイチ理解されないことが多いのだが、必要性を感じてもらえたようだった。「いま行なっている施策が済んだらぜひやりたいです!」ということだったので待っていたのだが、いっこうに連絡がこない。こちらから「状況いかがですか?」と連絡を入れると、こんなメールが返ってきた。

 次回の展示会とアポ電で忙しいため、ネットの改善をやるのはしばらく先になりそうです――――と。いやいや、アウトバウンドのアポ電をしないようにするためのインターネットの戦略ではないか。

*既存の行動習慣から抜け切れず同じ行動を繰り返してしまう

 既存のマーケティングが完全に行動習慣になってしまっていて、インターネットの戦略に移り変われない良くある例だと思う。というか、ほとんどの会社がこのパターンにはまっているのではないかと思う。インターネットの活用が必須であることは、心の底では十分に理解をしている。

 でも変えられない、わかっていて理解もしているのだけども、昨日と同じ行動習慣を今日も続けてしまう。「いまから宿題をやろうと思っていたのに!」状態がずっと続いているため、「インターネットへの意識が薄い」という自覚がないのも問題である。常に頭の片隅には「インターネットの活用」があることはあるのである。

 しかし、「いまからインターネットを活用しようと思っていたのに!」と意識をしていたとしても、実際の行動に移さなければ成果を得ることはできないし、ノウハウを蓄積することもできない。そして明日も「わかってはいるんだけどね」「忘れたことはないよ」と同じ毎日を繰り替えすことになってしまう。

*大切なのはネットの活用の「時間を取る」こと

 そんな既存のマーケティングの行動習慣を打破するためには、ちょっとした工夫があれば十分だ。「時間を取る」ということである。毎週金曜日の14時から18時、毎朝10時から11時というように先に時間を取ってしまうのがコツだ。内容は「インターネットの活用」で良い。インターネットの活用について考えるのでも、WEBサイトの更新作業をおこなうのでも、HTMLを学ぶのでも、「インターネットの活用」に関することならば内容は何でも良い。

 とにかく重要なのは、いまあなたのスケジュール帳に「インターネットの活用」の時間を書きこむことなのだ。そうすればその時間は「展示会の準備」にも「アポ電」にもおかされない時間になる。逆に、時間を取らなければ「できるとき」「余裕があるとき」「やりたいとき」に優先順位は下がっていく。「わかっているのに」既存の行動習慣だけを続けてしまうのは至極当然のことなのだ。

 新しいチャレンジは慣れていないので頭を使うのも身体を動かすのも過度なストレスがかかる。しかも新しいチャレンジをおこなったからといってすぐに成果が出るわけでもない。既存のマーケティングは行動が慣れているし、行動に対する成果も見えやすい。だから、インターネットの活用の必要性を十分理解していても、成果が出るまで「続ける」ことができない会社が多いわけだ。

 まだ今年もあと10か月ある。いますぐ会社のスケジュールに「インターネットの活用」の時間をぶち込もう。たったそれだけですべてが変わる。