著者:石田 麻琴

まず検索キーワードを単体ではなく、複数のキーワードに変える【no.1225】

 ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら

「いろいろ改善するところはありますが、まず気になるのは『1クリックあたり150円』という数字です。これがクリック数の少ない原因になってしまっています」

 麻間(あさま)さんが友花里さんから受け取った資料にペンで赤マルをつけながらいいました。

「入札したキーワードって、『笹かまぼこ』だけでしたっけ?」

「はい」

 七海さんがこたえました。「おにぎり水産は笹かまぼこ屋さんだから『笹かまぼこ』って検索キーワードで出したんです」。七海さんが加えます。

*リスティング広告はバランスが大切

「なるほど。まずは『笹かまぼこ』という単発のキーワードでは出さない方がいいですね。なぜかというと競合性が高い。競合が多いということは広告を表示させるためにクリック単価を上げなくてはいけないということです。ちなみに、『笹かまぼこ』の『1クリック150円』というのは一番の金額でしたか?」

「一番・・だったと思います。一番の金額が一番いいのかなと思って、一番の金額で一番最初から入札してしまいました」

 七海さんがやたらと「一番」を繰り返すので、隣に座る友花里さんは「プッ」と吹き出しました。

「リスティング広告というのは、バランスなんですよ。一番高い金額で入札して、一番目立つところに表示される。そして一番クリックされて、さらに商品が売れるなら良し。でも、二番目の金額で入札したとして、もし二番目の入札金額が一番目の半分だったとしたら、同じ広告予算に対して2倍のクリック数、つまり2倍のアクセスをつくることになります。ただ、問題は二番目の入札金額で2倍のクリック数を稼げるか、というところですね。もしかしたら、あまり『笹かまぼこ』と検索されないかもしれない」

「なるほどー。難しくてあんまり意味がわからなかったですけど、バランスという言葉が出るあたり、深そうな話ですね」

 友花里さんは麻間さんの話に感心しながらいいました。

*クリックされないければノーリスクなんです

「まあ、繰り返し改善をおこなっているウチにいろいろわかってくると思います。現時点でやった方がいいことは、まず検索キーワードを『笹かまぼこ』という単体のものではなく、例えば『笹かまぼこ 贈り物』というような複数のキーワードに変えてみることじゃないですかね」

「それって、たとえば『笹かまぼこ 特殊』とかっていうキーワードでもいいんですか?なんか『わさび漬け笹かまぼこ』って、普通の笹かまぼこにしては変わってるじゃないですか」

 七海さんが麻間さんに質問をします。

「まあ、たしかに『わさび漬け笹かまぼこ』は笹かまぼこにしては変わってますね。あとは『笹かまぼこ 特殊』と調べる人がはたしているかどうかなのですが、どうせならやってみましょうよ。リスティング広告はキーワードが検索されて、なおかつリンクがクリックされないと広告費がかかりませんから、キーワードを出しておく分にはノーリスクです」

 友花里さんがリスティング広告の管理画面を開いて、「笹かまぼこ 特殊」という言葉を広告キーワードに加えてみました。友花里さんが「えっ!」と声をあげました。

「広告の入札価格、15円なんだけど・・。『笹かまぼこ』は1クリック150円だったのに・・」

「えっ!ウソウソ!」

 七海さんが友花里さんのノートパソコンの画面に寄っていきます。画面をよく見て、「ホントだ・・」とつぶやきました。

「いやいや、そういうもんなんですよ。『笹かまぼこ』というような直接的な単体キーワードは一番入札金額が高いんです」

 麻間さんがそういうと、ふたりは揃って下を向きました。

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