ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
おにぎり水産ネットショップ「笹かまオニギリ」にリスティング広告をかけてから2日が経ちました。朝、七海さんが出社してメールボックスを空けると、見知らぬ宛先から一通のメールがきていました。
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リスティング広告の残高がなくなりました。
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「なんじゃコリャ!」
七海さんがメールを開いてぼーっとしていると、友花里さんが出社してきました。上着をハンガーにかけている友花里さんに向かって、七海さんがいいました。
「ちょっとー、友花里―、なんかおかしなメールがきてるんだけど。リスティング広告の残高がなくなったってー」
友花里さんは「なんだ朝から騒がしいな」といいながら、七海さんのパソコンに近づいてきました。パソコンに表示されているメールの内容をみて、「うわっ」と小さな声でいいました。
「このメールがきてるってことは・・もしかして最初に入金した広告費4万円を全部使っちゃったとか?」
友花里さんはリスティング広告の管理画面を開きます。広告予算の欄を見ると、残高はたった「100円」になっていました。七海さんは100円という文字を見るなり「プッ」と少し笑っていいました。
「友花里、これどういうこと!どーゆうことー」
「ちょっと、大きな声出さないでよ。朝からうるさいなぁ。リスティング広告の広告費が39,900円使われたから残高が100円になったんでしょ。そんなことは七海でもわかるでしょーに」
友花里さんが呆れたようにいいました。「でも、こんなに早く残高がなくなっちゃうとはね」。友花里さんは続けていいました。
「4万円分の広告費を入れておいて、100円が残ってるってことは、39,900円の広告費がこの2日で使われたってことか。私たちがリスティング広告で入札した『笹かまぼこ』ってキーワードはたしか1クリックあたり150円だったよね。39,900円を150円で割ると・・」
七海さんが携帯電話の計算機のアプリを開き「39,900÷150」を計算します。
「39,900割る150は266だね。この2日間で広告が266回クリックされたってことかぁ。その割にはあんまり売り上げが上がっている感じでもないような」
「厳密にいえば、一昨日の午後に広告を入稿したから1日半くらいだね。4万円も入れたのに、まさかこんなに早くなくなっちゃうとは思わなかったわ。怖いね。リスティング広告は」
友花里さんはリスティング広告の管理画面の中を遷移しながらいいました。「あ、3件、売れてるじゃん」。パソコン画面のコンバージョンという欄を指さします。
「あ、一応、3件は売れてたんだ。でも、266回クリックされて3件。広告費を約4万円使って売上は1万円くらいだから、これってちょっと赤字だよねぇ。なんだかこの結果、鬼切社長に相談しづらいよね」
七海さんはそういうと、友花里さんからパソコンのマウスを奪い、リスティング広告の管理画面を閉じてしまいました。「まあ、明日、麻間(あさま)さんに相談ってことで」。七海さんは「笹かまオニギリ」の実店舗の方に歩いていきました。
翌日は麻間さんとのミーティングの日でした。今回のリスティング広告の散々たる成果の話をすると、麻間さんはニコニコしていいました。
「まあ、最初はそんなもんですよ。今日は今回の広告出稿から学んだことを話し合ってみましょう。当然、今回限りで広告をやめるなんてことはしませんよ」
つづきはこちら。