著者:石田 麻琴

子どもの頃から「データをとって、毎日カイゼン」の考え方を習慣化できたら【no.1172】

 最近、クライアントさんとの食事会で自分(石田)の夢、というか目標の話をしたらえらく感心をしてもらえました。以前は食事をするたびによく話していたことなのですが、いつの間にかあまり話さないようになっていたのか、自分の夢。今日のコラムは、夢について。

 私の夢は、「データをとって、毎日カイゼン」を学校の授業に入れること。つまり、マーケティングを小学生や中学生に伝える環境をつくること。これが自分の目標です。

 いまはコンサルタントとして、「データをとって、毎日カイゼン」を社会人の皆さんに伝える仕事をしていますが、これを子どもの頃から学ぶことができたらどんなに素晴らしいだろうと思います。もう、4年前のことですが、毎週金曜の午後だけ、とある専門学校の先生をやっていたことがありました。そのときに、こんな授業をおこないました。

 自分の好きなものについてみんなの前で話してもらう、という授業です。生徒に前に出て来てもらって、3分程度、自分の好きなものについて熱弁してもらいます。生徒に語ってもらった後に、聴講者側の生徒に「興味を持ってもらえたか」を挙手してもらいます。パラパラと手が上がったり、ほとんど上がらなかったりです。

 次がポイントです。他の生徒の好きなものについての熱弁を聞きながら、「自分がどうプレゼンをすればもっと興味を持ってもらえるか」を考えてもらいます。もう一度、同じテーマで3分間、みんなの前で熱弁をふるってもらうのです。そしてまた、「興味を持ってもらえたか」を挙手してもらうのです。

 パラパラと上がった手は、バッとたくさん上がるようになるかもしれません。あまり変わらないかもしれませんし、少し減ってしまうかもしれません。ここで大切なのは、自分のプレゼンテーションの改善によって、成果(挙手)の数がどう変わったのかを知ることなんですね。改善と成果の「因果関係」を感じるための授業だったわけです。

 「3×2=■」というテストがあります。一般的な日本のテストです。答えは「6」しかありません。なので、「6」と答えた人が正解で、「6」と答えられなければ不正解になります。ただ、これは大人になった人間なら皆さんわかるとおり、世の中には正解がないのが普通です。成功の定義も人によって曖昧だし、その道筋も十人十色です。

 「●×▲=6」。こちらの問題の方が世の中の道理には合っています。「3×2」でも「2×3」でも良いわけです。答えはひとつではありません。人それぞれが異なった。面白い答えを出します。「1×6」でも良いですし、「1/6×36」でも良いわけです。「×」という部分を消していれば、「12-6」でも構いません。「0.1+5.9」でも「6」になります。発想は無限大です。

 そしてまた、「●×▲=6」という考え方は、逆算の発想を生み出します。ネットショップ運営でいえば、「受注件数×客単価=売上」です。じゃあ、「6万円」の売上を出すために、「受注件数×客単価」をどう予測し、改善の手を打っていきますか、という話になります。「3×2=■」よりも「●×▲=6」の考え方の方が、「データをとって、毎日カイゼン」的なのです。

 実際、学校のカリキュラムは国が決めていますから、そこに触れるのは簡単ではないと思います。ただ、私立でもいいし、特別授業でもいい。子どもの頃から、「データをとって、毎日カイゼン」の考え方を習慣化することで、素晴らしい「マーケティング脳」の人間に成長できると思うのは、気のせいでしょうか。

 おわり。