インターネットの仕事は、詰るところ「じゃあ、そのサービスをどうやってお客様に知ってもらうんですか?」というところに落ち着く―――。
ネットショップの制作会社に依頼をすれば、ネットショップが構築されEコマース事業をスタートすることができる。WEBサイトの制作会社に依頼をすれば、かっこいいコーポレートサイト(会社サイト)が出来あがる。スマートフォンアプリの開発だって、受託の会社や知見のある学生に依頼すれば作ってもらうことが可能だ。
もっと極端にいえば、会議室でブレストをして「いーねいーね。そのサービス絶対に成功するよ!」というものもある。これもネットショップなり、WEBサイトなり、アプリなりを制作すれば、サービスをスタートすることはできる。実際、「WEBサイトを作る人がいないから、WEBでのサービスをリリースできない」なんてことを悩む時代でもない。
だから、EコマースにしろWEBにしろアプリにしろ、サービスのアイデアを思い付いた時点で、サービスが存在しているといえる。しかし、必ず立ちはだかるのが、「じゃあ、そのサービスをどうやってお客様に知ってもらうんですか?」というところだ。
サービスを改善することと、お客様に知ってもらうこと。仕事は極論すればこのふたつしかない。なぜなら、売上を上げるとは、既存のお客様にもっと利用してもらうか、新しいお客様の数を増やすのか、どちらかしかないからだ。
万にひとつだと思うが、サービスを立ち上げた時点で、お客様が自然に集まってきてしまうというサービスがある。すでに需要が存在しているにも関わらず、何らかの理由で誰も手を出していないポジション。そこにスポッと収まってしまうサービスがある。そしてこれができてしまう経営者がいる。いわゆる、天才的な起業家。
世の中の99%の社会人はこのタイプには当てはまらない。だから、すでにある需要の中で小さな違いを探しながら競合と熾烈に争うか、もしくは未来に訪れるかもしれない需要をまってサービスを伝え続けるか、普通はどちらかになってしまう。この両方ともに当てはまる課題が、「じゃあ、そのサービスをどうやってお客様に知ってもらうんですか?」だろう。
インターネットのビジネスには商圏というものがない。生活の中で意識なく目に留まることがない。だからこそ、「お客様にサービスをどう知ってもらうか?」つまり、存在をどうやって知ってもらうかが重要になる。
Eコマースサイトの立ち上げや、WEBサービスサイトの立ち上げ、コーポレートサイトの立ち上げ、アプリの開発とともに、「どうやってお客様に知ってもらうか?」を合わせて論じることをしないのはちょっとだけ不親切だと思う。世の中にそれぞれ役割はあるとはいえ。
今年のEコマース業界。話題になったのは「越境EC」である。越境ECについてのセミナーや越境ECサイトを立ち上げるためのサービスが一気に増えた。補助金が出るなど、越境ECのWEBサイトを立ち上げることを国が推奨している部分もある。
「じゃあ、そのサービスをどうやってお客様に知ってもらうんですか?」
国内のEコマース市場において、国内のお客様に「サービスを知ってもらう」ための努力ができていないネットショップが、越境ECで海外のお客様に知ってもらうことはできるのだろうか。お金を払うのではなく、頭を使って、汗水を流して「知ってもらう」ために自分自身ができることは何なのか。
インターネットの課題は、詰るところ「じゃあ、そのサービスをどうやってお客様に知ってもらうんですか?」というところに落ち着く―――。
おわり。