著者:石田 麻琴

Eコマースの市場の変化について、改めて振り返ろう。一【no.0752】

 Eコマースの市場の変化について振り返りたいと思います。

 日本にEコマースの市場ができて、20年弱というところでしょうか。楽天市場がインターネット・ショッピングモールサービスを開始したのが1997年のことです。それまでもインターネットを使った「メールをベースにしたやり取り」での売買はおこなわれていたと思いますが、この楽天市場のスタートが日本のEコマース市場のスタートといえるのではないかと思います。ちなみに、ヤフオク!の前身である「Yahoo!オークション」のサービスがスタートしたのは1999年の9月ですから、楽天市場よりも2年程後のことのようです。

 私がEコマースの業界に足を踏み入れたのは2005年の7月のことでした。ですから、Eコマースの業界にちょうど10年以上、浸かっていることになります。つい先日、Eコマースのベンチャー企業に入社したと思ったのに、月日が流れるのは本当に早いものです。

 私は大学を卒業して2年弱フリーターを経験してから社会人になっています。Eコマースの業界が初めての仕事でしたし、社会人になってからの10年間、インターネットの仕事しかしていないことになります。これも良いのか悪いのか・・。

 2005年当時のEコマース業界について、あの頃は新人だったためよくわかりませんでしたが、今振り返ってみると「市場の成長期」だったことがよくわかります。2004年~2005年という時代は、楽天市場に出店しているネットショップにとっては、まさに「バブル」といって良い時期でした。

 2005年まではEコマースの業界にいなかったので十分な知識はありませんが、それまでのEコマースの「黎明期」を抜け、「供給に対しての需要」が爆発的に拡大する「成長期」に入った時期だったのでしょう。このような時期は、少し悪い表現になりますが「入れ食い状態」です。供給に対して需要が大きくなる時期ですから、「売り手市場」になります。特に「広告効果」をみると、その「バブル」の状態がわかります。

 私が入社させてもらった会社もインターネット広告の使い方が非常に上手い会社でした。社内でもっとも花形の仕事は「広告担当」。楽天市場の担当者さんに相談して広告枠を選定し、広告に掲載する商品を決め、広告画像や広告テキストを作成し、楽天市場に入稿する。社内でその広告の選択権を与えられていたのは、「社長」と「大学生インターン」のふたりだけでした。きちんと広告を選定し、その効果を検証していれば、かけた広告費の3倍4倍の売上が戻ってきた時代です。需要と供給は、明らかに「需要>供給」にバランスが傾いていました。

 2005年、2006年というと、まだパソコンでのEコマースが全盛の時代です。当然、スマートフォンはありません。タブレットもあります。携帯電話もガラケーの時代です。ユーザーは爆発的に増え続けているとはいえ、ネットショッピングが一般化するのはもう少し後のことになります。パソコンでのEコマースが主軸であったとはいえ、この頃にわかに盛り上がり始めてきたのが「モバイル」でのネットショッピングでした。

 当時、楽天市場に出店している多くの会社がモバイルでのEコマースについては懐疑的でした。「あんなもんで商品が売れるのかい」ということです。ですので、ネットショップの運営としては基本的にはパソコンのページを更新することがメイン。モバイルのページについては、まったく更新しない(まったく更新しなくても検索には出る)ショップがほとんどでした。

 しかし、ユーザーの動きとは早いもので、モバイルで商品を探している層のお客様はいたんですね。モバイル店をきちんと構築しているショップ自体が圧倒的に少なかったわけですから、パソコンよりも「需要>>>供給」という状態だったのは言うまでもありません。

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