これからEコマース事業をスタートする、もしくはEコマース事業を再始動するとき、「成功の条件」になるふたつのポイントについて紹介します。
商品をつくれること。
Eコマース成功の条件、ひとつ目は「自社で商品をつくれる」ことです。望ましいのは自社で商品の企画から製造までをすべておこなえることですが、自社で商品の企画をおこない外部で製造をおこなうOEM形式も条件に合致します。
商品を作れるとは「差別性を自らつくれる」ということになります。どこにでも売っている、どこでも手に入るような商品は、Amazonやセブンアンドアイなど「大資本」のネットショップで購入をした方が価格も配送スピードも便利です。
中小のネットショップが作らなければいけないのは、「時間を待ってでも欲しい」「金額が高くても欲しい」というオリジナルの価値です。オリジナルの価値は「商品」「サービス」の両面から提供することが可能ですが、やはりまずは「商品」ということになります。
適正な価格で販売し適正な利益を上げることは、「商品をつくれる」ことで実現します。利益率の高い差別性のある商品をつくることができれば、次の新しい商品やサービスに投資をすることができます。露出を強めるための広告費率を上げることができます。多少の市場環境の変化ではビジネスが揺るがないのが「利益率の高さ」です。
実店舗があること。
Eコマース成功の条件、ふたつ目は「実店舗がある」ことです。この実店舗があることの意味するところは、「インターネット以外の場所に、お客様に認知される機会があるか」ということです。ですから、カタログでも構いませんし、スーパーの一角に置いてある棚でも構いません。
すでに、インターネットだけで新しいお客様を集客して商売を成り立たせるという時代ではなくなってきました。インターネット上のプレーヤー(事業者)はこれからも増え続けます。しかし、ユーザー(お客様)の数は増え続けません。ユーザー(お客様)の使うお金も増え続けません。むしろ減る方向にすらあります。
インターネット上から新規のお客様にリーチするためのコストはこれからも上がり続けていきます。しかし、インターネットは露出をしなければ埋もれてしまいます。インターネット以外の場所、できればリアルにお客様に認知される機会を持つことで、その存在を「偶然」知ってもらうことができます。この「偶然知る」がインターネットだけではカバーができません。
2009年までのEコマースの市場は、早く参入した事業者が勝ちやすい時期でした。2010年から2015年は入れ替えの時期です。Eコマース事業専業のネットショップから、母体をもってEコマース事業を運営する会社に主役がシフトし始めています。2016年以降は、さらに母体をもつ会社のEコマースが加速していくでしょう。
母体をもつ会社とはつまり、「これまでリアルではきちんとした信用と実績を積み重ねてきたけれども、ネットでは実績を獲得できていない」会社のことです。このような会社には自社オリジナルの「商品をつくる」仕組みが整っています。また、実店舗など「インターネット以外の場所に、お客様に認知される機会」があります。まさにこれからのEコマースの主役になることができる会社です。
この15年間で、一度もEコマースに挑戦していないという会社は少ないでしょう。一度チャレンジしたけれど断念したという会社は非常に多いはずです。しかし、お客様がインターネットに流れているという事実は避けられません。Eコマースの市場環境、取り組む際の考え方をしっかり学びながら、ぜひ再チャレンジをして欲しいと思います。
おわり。