Eコマースの市場の変化について振り返りたいと思います。(前回はこちら)
前回の続きです。こちらのブログですが、2011年前半までの振り返りはネットショップ運営担当者、スタッフの立場から、2011年後半からの振り返りはコンサルタント、経営者の立場からの視点になってしまうことをご了承ください。
Eコマース市場は「広告戦略」に続き、「サービス合戦」が加速していました。インターネット広告でバブルのように売上が伸びる時代には気になりませんでしたが、広告効果に陰りが見え始めると「より選ばれるにはどうすればいいか。より転換率を上げていくにはどうすればいいか」という発想に変わっていきます。
2008年頃から、Eコマース「サービス合戦」に入っていきました。ショッピングモールのサービスとして、それまでは「別途送料」のショップが多かったのですが、「送料無料」が当たり前になっていきました。また、特別なキャンペーンのときにしか付与していなかったポイントも、「ポイント5倍」「ポイント10倍」が当たり前のようにおこなわれるようになりました。「他がやるからウチもやる」。新しいお客様を呼びこむために、多くのショップが「送料無料」「ポイント」を取り入れていきます。
小売りのネットショップについては、「値引き」が加速していきます。同じ商品ならば、1円でも安い方がお客様に購入されやすいからです。ネットショッピングを楽しむお客様のリテラシーの向上、通信速度の向上・安定化などもあり、お客様が「探す」時代に入ってきたことも要因にあったのだと思います。ショップの「評価・レビュー」を獲得するための、「レビューを書いたら●●!(値引き・おまけ・送料無料)」が流行りだしたのもこのころでしょうか。
そして、「サービス合戦」の最も中心になったのが「物流」でした。それまでも各ネットショップは、お客様から注文を受けた翌日もしくは翌営業日に商品の発送をおこなっていたところがほとんどでしたが、ここからプラットフォーム上に「確約としての納期」を出すサービスがスタートしました。楽天市場でいう「あす楽」、Yahoo!ショッピングでいう「あすつく」というようなものです。楽天やYahooというプラットフォーム側としては、このサービス改善は明らかにAmazonを意識したものだったのではないかと思います。
送料無料、ポイント10倍、価格競争(値引き)、評価・レビューの他に、ネットショップの運営側としては「配送」という新しいサービスが加わったのでした。当然、これらのサービスがお客様がネットショップを選ぶ際の「判断基準」になります。これまでは、「お客様からの注文を受けた後、取引先に商品を発注。商品入荷後、お客様に発送」という「受注発注」で運営していたネットショップも、即日配送の仕組みを整えるために、販売戦略上、ある程度の商品在庫を抱えなくてはいけなくなりました。
Eコマースの市場は2009年を境に潮目が変わっています。広告効果の下落、サービス合戦、お客様のリテラシーの向上、ネットショップ・ショッピングモール両面からの市場参入の激化・・。新しいお客様を増やすために広告はやめられない。ただ、お客様に選んでもらうためにはサービスも強化しなくてはいけない。商品在庫も抱えなければいけない。2009年までのEコマース市場に合わせて成長をしてきた会社にとっては、上からも下からも首を引っ張られるような状態になっていきます。
2009年、2010年はEコマース事業を売却する会社、Eコマース事業を撤退する会社が増えてきた時期でもありました。
つづきはこちら。