著者:石田 麻琴

CRM4ステップ戦略を練るときのKPIと数字項目。【no.0201】

(前回のコラムを読まれていない方は、まずこちらをお読みください)

 前回のコラムでは、潜在顧客・見込顧客・新規顧客・既存顧客というCRMの4つのステップのうち、潜在顧客にいかにしてウェブサイトへアクセスしてもらうかをお話しました。今回は、実際にCRM戦略を練る場合のKPIと検証する数字項目を、4つのステップ別に考えてみたいと思います。例として、肌荒れを防ぐ化粧品を商材とした場合で書いていきます。

*潜在顧客のステージ

 潜在顧客を獲得するステージでのKPIはアクセス数です。どれくらいの方にウェブサイトにアクセスしてもらえているかを指標として追っていきます。お客様の「肌荒れ」についての問題解決を、お客様の様々なケースに合わせて提案し、ロングテールで検索から流入を狙うので、検索キーワードからの流入数、ヒットした検索キーワード数もウォッチしていきたいですね。この検索キーワード数が多いほど、インターネット上に広く細かい網が張れていることになります。アクセスした潜在顧客の期待値との距離感を図るためにも、PVや平均滞在時間、直帰率も数字の検証項目に加えておき、ネットショップの運用改善に役立てていきます。

*見込顧客のステージ

 潜在顧客から見込顧客への引き上がりは、顧客の意識の問題もあり、簡単に伺うことができません。ここは、自社のサービスに合わせて、自らの定義が必要になります。仮に、お客様の問題解決用のメディアサイトを別に用意する場合、メディアサイトを通じてネットショップにアクセスした数を見込顧客として定義することができます。また、ネットショップへの来店として、新規のアクセスについては潜在顧客と定義、リピートのアクセスについては見込顧客と定義するのもありです。今回の化粧品の場合は、無料のサンプル商品を用意し、それを請求したお客様を見込顧客と定義します。ということで、見込顧客を獲得するステージでのKPIはサンプル請求数とサンプル請求率(サンプル請求数÷ユーザー数)ということになります。

*新規顧客のステージ

 このステージでのKPIはシンプルで、新規の本商品の購入者数と購入率(本商品購入者数÷サンプル請求者数)ということになります。サンプルを請求し、自社の見込顧客になった時点で、本商品を購入いただくために様々なアプローチをすることが可能になります。1つ1つのアプローチに対して、その施策の条件を整理し、その上でどれくらいの成果があったのかを定量的に残しておくことが肝心です。そうすることで、日々業務を繰り返しているうちに、施策の精度が上がっていき、仕事の最適化が図れてくるはずです。データベースから、見込顧客から新規顧客に引き上がるお客様の傾向も、次第に見えてくると思います。

*既存顧客のステージ

 化粧品の定期購入コースを用意してあれば、定期購入コースの入会者数と入会率(入会者数÷本商品購入者数)、そして退会数と退会率がKPIになります。定期購入コースが無い場合、リピート数とリピート率がKPIです。こちらも施策とその条件を整理しながら、成果の数字を検証し、「原因」と「結果」理論の精度をあげていくことが重要です。また、データベースから、お客様の商品の購入サイクルや購入時間、購入タイミング(イベント・キャンペーン時など)を読み取ることで、個々のお客様に1to1の最適なマーケティングを展開することが可能になります。商品が複数ある場合は、データに基づいてアップセルやクロスセルの提案をし、成果数字をみてみると良いでしょう。

 というような感じで、潜在顧客・見込顧客・新規顧客・既存顧客というCRMの4つのステップを展開していく上での指標をみてきました。ここで紹介した数字項目があくまでサービスの背骨です。まずは、この背骨の数字だけを日々しっかりと追って、ネットショップの運用改善の成果を判断していくのが良いと思います。数字は、たくさんの項目を見るのではなく、同じ項目を見続けることが重要です。まずは5項目程度から。慣れていったら項目を少しずつ増やしていってください。