著者:石田 麻琴

とっても簡単な行動習慣をデータマーケティングに活用する。 【no.0146】

(前回のブログを読まれていない方は、まずこちらからお読みください)

 データを活用して廃棄率75%減を実現したスシローのデータマーケティングを解析しよう、という話の第十回です。もう十回まできました。以前書いた、広島カープの売上を上げる方法、ゴルフ場のマーケティングも長かったですが、こちらも長くなりました。

 まず復習です。来店したお客様の「食パワー」を設定するにはどうすれば良いかという話です。お客様の属性をまったくセグメントせず、「食パワー」を設定するのは危険。かといって、顧客IDがなければ個別の「食パワー」は設定できない。折衷案として、「お客様の回転寿司の食事をサンプリングすることで、性別や年代別での基本の『食パワー』を設定していく」というところまでを書きました。しかしながら同じ性別・同じ年齢でも、食べられる量って人によってマチマチなんですよね、というのが前回の話のオチ。

 そこで、お客様の来店時に基本となる「食パワー」を設定し(その基本の「食パワー」をレーンに流す回転寿司の皿の枚数に反映させるとして)実際にお客様がどれくらいの量を食べるのかは、過去のデータから予測していかなければいけないわけです。以前、ECMJコラムでこんな話を書いたのを覚えている人はいらっしゃるでしょうか?もしかしたら、見覚えのある人がいるかもしれません。
1日の数字の流れを把握しながら、マーケティングの行動習慣を変えていく方法。【其の弐】

 このコラムの内容はデータマーケティングをする上で非常に重要なので、再度簡単に説明します。

 Eコマース事業を行う上で、1日の数字として把握しておきたいのがお客様からの注文件数の流れです。朝10時、オフィスに出勤したら0時から10時までの間に何件の注文が入っているかを見る。13時になったら注文件数を見る。16時になったら注文件数を見る。18時になったら注文件数を見る。22時になったら注文件数を見る。というように、1日5回、決まった同じ時間に注文件数を見ます。

 1日5回の注文件数チェックは毎日行います。1週間や10日ほど見続けると、面白いことに気がつくはずです。それが注文件数の増え方の傾向です。1日5回の注文チェックが習慣になると、10時に20件、13時に30件、16時に50件、18時に70件、22時に100件などというように、1日の注文件数の流れと目安が数字で考えられるようになってきます。この癖がつくと、2つ良いことが起こります。

 1つは、注文件数の「異常に気がつきやすくなる」ことです。「いつもは10時までに20件ほどしか売れないはずなのに、50件以上売れているのはおかしい」とか、逆に「なぜ18時の時点で30件しか売れていないのか」など、注文件数を軸として1日に5回、改善に繋げられるチャンスが生まれます。これが1つ目。

 もうひとつが、今回のテーマに関係するところです。なにかというと、注文件数の「着地が読めるようになる」ことです。1日5回のチェックにより、「16時で50件ならば今日の注文件数は120件くらいだろう」「18時で100件だから、今日は180件くらいいくかもしれない」という「着地」の予測が立てられるようになります。

 当然ですが、注文件数の「異常に気がつきやすくなる」「着地が読めるようになる」の両方とも、データが多ければ多いほど、つまり日数が多ければ多いほど、正確になっていきます。回転寿司の需要予測についてもこの理論を活用して、お客様の注文データから、「着地」を読んでいくわけです。この場合の着地とは、お客様が回転寿司で食べる「食事の量」ですね。

 そこで、冒頭の画像を確認してください。次回は、この話をします。

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