著者:石田 麻琴

インターネットにおける共同購入の可能性について考える 【no.0028】

 インターネットにおける共同購入の可能性について考える・・。

「みんなで買えば安くなる」それが共同購入‥!

 「共同購入」をご存じでしょうか。もしくは、覚えているでしょうか。

 共同購入とは「みんなで買えば安くなる」という販売システムのことです。一定期間内に、商品を購入するお客さんを募ります。販売個数が1個ならば5,000円、2個~5個までなら3,000円、6個~15個までなら2,000円、16個~50個までなら1,000円、というように販売個数によって商品の価格が決まっていくのです。当然、販売個数が多いほど、商品の価格は下がっていきます。共同購入は2008年頃までけっこう流行っていました。

 私が過去に運営していたネットショップも、共同購入が強いお店として有名でした。2005年、最初に覚えた仕事も共同購入の出品登録や、販売管理でした。ピアスやネックレス、リングなどのジュエリーの共同購入です。1つで注文すれば仕入は高い、複数でできるだけ多い個数で注文すれば仕入は安い。仕入先との取り決めもポイントになると思いますが、共同購入の良いところはお客さんにとって「売れている感」がわかりやすいところです。

「共同購入」はなぜ廃れてしまったのか

 システム上、共同購入商品を買ったお客さんは商品ページにIDが並ぶ。そこに1行ほどのコメントを入力することができます。そして、お客さんがそこに「みんなで買おう!」とか「楽しみです」とか記入をする。購入したお客さんのコメントがずらーっと並ぶと、共同購入の場自体が盛り上がます。そしてさらに、相乗効果で購入が加速していくのです。共同購入の終了時間と完売個数が近づくごとに、お客さんの気持ちも高ぶっていく感じです。

 しかし、この共同購入という仕組みは廃れました。なぜ廃れたかと考えると、仕組みを姑息に利用するネットショップが増えたからです。わざと高い金額からスタートさせ、安くなった感をお客さんにアピールするショップ。限定30個と言いながら、完売すると再追加さらに完売すると再々追加するショップ。また、底値までの入札をサクラで行ったところもあったようだ。つまり、販促の手段として使われるようになったため、共同購入は廃れたんですね。姑息な手はお客さんにすぐバレるのです。

不動産、分譲マンションの共同購入はどうだろうか‥!?

 しかし、インターネットの共同購入という仕組みは、もっと可能性のあるシステムの気がします。「不動産、分譲マンション」の共同購入はどうでしょうか。

 分譲マンション販売は埋まっていてナンボでしょう。部屋が空いていると、お金が寝てしまう。しかも、価値は時が経つごとに落ちていく。そのため入居日には全戸を埋めようと、営業さんが必死で動き回り、新聞の折り込みチラシやWEBサイト作成とWEB広告などで入居者を集めていく。条件が非常に良いマンションならば、お客さんが自然に集まってくれて完売でしょうが、一部の物件でしょう。

 本当に営業さんは必死です。以前、私の親がマンションを購入する際、ハンコを押す直前で母親が若干の気変わり発言をしたところ、営業さんが卒倒しそうになったらしい。結果的に購入ましたが、そのくらい営業に必死だ。購入に至るまでのマーケティングコストたるや、それなりの金額なのではなかろうか。

 これを分譲マンションの共同購入でカバーできないだろうか。たとえばとある分譲マンション、300戸で平均の価格が5,000万円。全て売れれば150億円だ。そのうち、営業さんの人件費と広告費の合計でそのうち10%や20%ではないと思う。共同購入で一気に埋まるならば、最低でも数百万は購入者に還元できる。たとえ、すべてが埋まらなかったとしても、営業コストはミニマムにおさえられる。

リアルビジネスの事業者ほどメリットは大きい

 インターネットで購入者を募り人数が多ければ多いほど割安というモデルは、営業人件費の削減、広告コストの削減、そしてボリュームによる取引先との価格交渉、という3点から成り立つ。おそらく、リアルビジネスの事業者ほど、共同購入のメリットがあるはず。営業人件費と広告コストの削減というところのインパクトが大きいはずだから。

 逆にいえば、これまでの共同購入の使い方というのは少しズレている。販促のひとつみたいな形でお客さんの信用を失ってしまったのが悲しい。共同購入はインターネットの利点を活かした、可能性のある販売方法だと思うのだ。

【合わせて読みたい】
Eコマース市場での商品ニーズを調べる方法【no.1328】
仲間で当てよう!共同購入(宝くじ公式サイトさん)