著者:石田 麻琴

広告文からキーワードを抜き出して対象顧客を考える。【no.1358】

(前回はこちら)

友花里さんはマーカーを手に取り、ホワイトボードにふたつの文章を書きました。

・イモ焼酎に合うのはコレ!のんべぇさんのためのおつまみ
・全国の焼酎マニアさんお待たせしました!新おつまみのご提案

七海さんがこのふたつの広告文をもう一度読みます。もう一度読んで、そしてもう一度口に出して読みました。

「うーん。内容としては同じようなこと言ってるんだよね。当たり前だけど。このふたつの広告文でそれぞれページをどう変えるかってことよねー。難しいなぁ」七海さんは早くも諦めムードです。友花里さんは何かに気づいたように言いました。

「広告文に含まれてるキーワードを分解して考えてみない?なんかこの前テレビを見てたときに、たまたまそんなことをしてた番組があった気がする」友花里さんは各々の広告文からキーワードを抜き出し、ホワイトボードに書きます。

・イモ焼酎 のんべぇ おつまみ
・全国 焼酎マニア おつまみ 提案

「確かに・・。キーワードに分けてみるとわかりやすい、っていうか全然違うものに見えてきた」七海さんが何かにひらめいたようです。

「シンプルなことだけど、同じような文章でも最初の広告文はキーワードが3つで、後の広告文はキーワードが4つなんだね。それだけでも普通に広告文を読んでるときは全然気づかなかったわ」七海さんが続けます。

「そうね。私もキーワードに分けてからそれに気がついた。このふたつの広告文って、広告文の内容としては同じなんだけども、被っている言葉って実は『おつまみ』だけなんだよね」友花里さんが言います。

「私、思ったんだけど、このふたつの広告文のリンク先ページをつくるときにポイントになるのって『のんべぇ』と『焼酎マニア』って言葉だと思うの。麻間(あさま)さんがいつも『訴求力』って言ってるじゃない。訴求力って『人』に対しておこなうものだと思うんだけど、このふたつの広告文だと『のんべぇ』って言葉と『焼酎マニア』って言葉がまさに『人』を表してるんじゃないかと思うんだよね」七海さんが良いところに気がついたようです。

「あー、ホントだ。他のキーワード、『イモ焼酎』も『おつまみ』も『全国』も『提案』も『人』を表している言葉じゃないもんね。七海、いいところに気づいた。まずはこの『のんべぇ』と『焼酎マニア』からリンク先ページの『違い』を作っていくのが良さそうね」友花里さんは「のんべぇ」「焼酎マニア」という言葉をホワイトボードに改めて書きました。

「このふたつの言葉からイメージできることは何かってところよね」七海さんが言います。

「まず、『のんべぇ』っていうと、酔っぱらったオジサンを思い浮かべるよね。酔っぱらって一升瓶を抱えてるみたいな。どこか昭和っぽいオジサンで、くるくる回ったメガネをかけてて、ハゲてて、腹巻をしているような・・」七海さんが会議室の天井を見上げながらイメージをつぶやきます。

「それってカトちゃんじゃん!まあ『のんべぇ』のイメージとして間違いではないと思うけどね。でもあんまり過度にデフォルメすると、お客様がちょっと不快に感じるんじゃないかなぁ。自分で自分のことを『のんべぇ』って思うのは良くても、人から言われたり表現されたりすると嫌なことってあるじゃない。そこそこな感じで」友花里さんがいいました。

「まあ、じゃあ、そこそこ酔っぱらったサラリーマン、くらいでいいのかもね。じゃあ、『焼酎マニア』の方。これはカトちゃん的酔っぱらいとか、サラリーマン的酔っぱらいのイメージとは離れるわね」七海さんがいいます。

つづきはこちら。