著者:石田 麻琴

「工夫のしどころ」がないほど、資本力のある会社が有利になる【no.1325】

 インターネットの戦略は「商品を増やす」か「情報を増やす」か「広告を増やす」かいずれかしかありません。

 もちろん、「どんな商品を増やすか」「どんな情報を増やすか」「どんな広告を増やすか」という運用改善は大切です。ただ、いまあるものを運用改善していくだけではなく、数を増やし続けていくことでインターネットの市場の中での認知が広がっていきます。

整体の事業者・サプリメントの事業者のネット戦略

 少し前のことですが、美容関係の相談を受けることがありました。ひとつは整体を運営されている事業者さん。インターネットを使ってより実店舗にお客様を集客するためにはどうすればいいのか、という相談です。もうひとつは、美容関係のサプリメントを販売している事業者さん。ネットショップを立ち上げ販売をしているが、期待しているような売上が伸びていかないとのこと。

 どちらの事業者さんも中小企業ですので、インターネット広告を活用するのはできるだけ避けたいということ。またどちらの事業者さんも「商品を増やす」モデルではないこと、こちらも特徴でした。実店舗を運営する整体さんはサービスのラインナップが決まっています。サプリメントの販売も「ひとつの商品を徹底的に売る、リピートや定期購入を増やす」というのが戦略です。

 このタイプの商材を扱うインターネットの戦略の軸は「情報を増やす」ことです。商品やサービスの「用途」「目的」「利用シーン」などを想定した情報をWEBサイト上に定期的にアップしていきます。オウンドメディアやコンテンツマーケティングの考え方です。その中で、お客様から反応があった情報をデータ分析して、お客様により探される、より利用してもらえるように改善を繰り返していくのです。

「情報を増やす」をマーケティングとして提案したが・・

 大まかな戦略の軸としてこのふたつの事業者さんには「情報を増やす」を提案しました。競合性が低く、お客様の側からバンバン検索で探してくれ、なおかつ利益率が高ければシンプルに「広告を増やす」を提案するのですが、そこまでの商品やサービスではありません。なかなか商品やサービスそのものだけで簡単に「差別性」を持つことは難しいですしね。

 「情報を増やす」どちらの事業者さんもそこに理解を示してくれたものの、どちらの事業者さんからも同じ反応がかえってきました。「うちの商品(サービス)は薬事の関係で発信できる情報が限られているんです・・」。薬事とは「薬事法」です。インターネットで美容・健康食品関係の商品・サービスを販売している事業者さんでこの壁に当たっている方は多いのではないでしょうか。

 この場合、選択肢はふたつしかありません。ひとつは、それでも「情報を増やす」ことでお客様の認知拡大を狙う方法を考えること。もうひとつは「商材を変える」ということです。迷っていたら、早めに決断をするのが吉です。

「他の事業者が諦めていること」だからこそチャンス!

 「情報を増やす」を選択する場合、少々頭を使わなければいけないかもしれません。お客様の声、事例を中心に、同じ内容に帰結する情報を「入口を変えて」増やしていきます。お客様は「自分のケース」を探しているわけですから、お客様をどれくらい細かくセグメントできるかがポイントです。簡単ではないですが、「他の事業者が諦めていること」だからこそ勝ち筋があります。

 「商材を変える」場合、前述したように「競合性が低く、お客様の側からバンバン検索で探してくれ、なおかつ利益率が高い」商品やサービスであれば理想です。商品やサービスを決めた時点で「勝てるか勝てないか」が決まる代表的な例です。

 美容・健康食品系の商品・サービスは「薬事法」の関係から「情報を増やす」のが難しいのがほとんどです。「工夫のしどころ」がなければないほど、資本力のある会社が有利になります。「商品を増やす」「情報を増やす」ができなければ、最後は「広告を増やす」の勝負になりますから。

 おわり。