著者:石田 麻琴

お客様にとって優先順位の高い「カード」になるためには?【no.1135】

 人は自分のタイミングでしか買わないものです。

 あなたの商品やサービスがいくら良いものだったとしても、今月のお小遣いが足りなかったら買いません。奥さんや友達や町金から借金してまで、あなたの商品やサービスを買うわけではありません。ちょうどいいタイミングでなければ「見つけて即購入!」ということはなく、必要になるまで保留にしておいたり、ほかの商品やサービスとの比較をし始めます。

 なので・・いい商品だから、お客様は必ず買ってくれるはず!いいサービスだから、お客様は必ず利用してくれるはず!という考え方はちょっと利己的です。いいプレゼントをあげるから、彼女は必ず振り向いてくれるはず!というのと同じです。相手にもいろいろと事情があるのです。あなたの商品やサービスに興味があったとしても。この「興味」の度合いが見えないので、困っちゃうんですけれど。

 大切なのは、お客様の手の中にある「カード」になっておくことです。その場で「即購入!」とはならないわけですから、「困ったときはこの商品を購入しよう」「いつかこのサービスを利用したいな」と覚えてもらうことです。覚えてもらえるからこそ、お客様にタイミングがきたときに思い出してもらうことができます。当たり前ですね。

 じゃあ、どうやってお客様に覚えてもらうのか、これが難しいところです。商品やサービスに圧倒的な差別性やインパクトがあって覚えてもらえる。これができたら理想ですが、そこまで到達している商品やサービスはなかなか見かけないと思います。自分の過去を思い出してみて、「うわ、これ、すげー!」と思った商品やサービスはいくつあるでしょうか。その時そう思ったとしても、今ではほとんど覚えていないと思います。

 ズバリ、お客様に覚えてもらうために必要なのは、「接触回数」ではないかと考えます。話はシンプルです。1回だけお客様に見てもらう、知ってもらうよりも、2回3回と見てもらい知ってもらう方が、お客様の手札に入りやすい、5回10回であれば、尚良い。困ったとき、必要になったとき、もし目の届く範囲にあったとすれば最高です。最優先の選択肢になることができます。

 ネットショップではなく、営業をベースにして考えると比較的わかりやすかもしれません。日々、新しい商品や新しいサービスの情報が流れていく中で、たった1度のチャンスでその「違い」に気づいてもらうのは難しいものです。お客様の立場とすれば、ひとつひとつの商品をじっくり見ているほどヒマではないのです。また、「自分のサービスだけは見てもらえるはず!」というのも妄想です。

 最初に名刺を交換してサービスを紹介してから、暑中見舞いを出したり、年末年始のご挨拶に伺ったり、変化があれば訪問したり、交流会に参加してお話ししたり、ゴルフでご一緒したり、様々なタイミングで時間を共有し、「接触回数」を増やすことで、よりお客様の手札の中での優先順位を上げていくと思います。仕事を発注いただけるような状態になるか否かは、あとは運と縁です。ただ、優先順位が高くなっていれば、直接仕事をいただけなくても、お知り合いを紹介してもらえる可能性があります。

 では、ネットショップの運営を考えた場合、「接触回数」はどうやって上げていくことができるでしょうか。考えなければいけないことです。もしかしたら、差別性のない、違いのない、どこでも買っても同じという商品やサービスを営業している方に、そのヒントが隠れているのかもしれません。

 おわり。