著者:石田 麻琴

ネットで炎上しないためには、情報発信を続けることが大切。【no.1062】

 先日の講演でこんな質問をいただきました。「ネットで炎上しないためにはどうすればいいでしょうか?」という質問です。

 現在、料亭などお店で使われている刃物のブランドを営んでいる。インターネットを使って、全国のお店との取引が広げられればと思っている。ネットをより活用していきたいが、炎上などのリスクはないのだろうか。自分たちのブランドが毀損してしまうのではないかと思うと、少し怖い。

 こんな質問でした。インターネットの世界は人間の顔がみえません。どんな人が商品を購入したのかわかりませんし、どんな人がレビューを書いたのかもわかりません。満足した顔をしてくれているのか、渋い顔をしているのかもわかりません。そんな中で自分の商品が炎上をしてしまったら、下手をすると商売ができなくなるのではないか、そう思う気持ちもわかります。いまネットにあまり取り組んでいない会社さんで同じ不安を持っている方、多いのではないでしょうか。

 ひとつの解決策は、とにかく情報を発信することだと思います。これをすることで100%炎上を回避できるとはいませんが、万が一、何かの形で炎上が起きたとしても最小限の被害で押さえることができるのではないでしょうか。

 とにかく情報を発信する。自社のいい情報も、悪い情報も発信する。ネットショップに慣れていなければ、カッコをつけずに「ネットショップの運営をスタートさせたばかりで慣れていないので、不備があった場合は申し訳ありません」と発信すればいいんです。それを理解した上でネットショップを利用してもらえばいいだけですから。

 ネットで炎上や喧嘩が起きやすいのは、コミュニケーションが限られているからです。自分のことを相手に知ってもらう機会が少ないから、相手が想像だけを膨らませてネガティブな方向に向かっていくのです。自分の情報を徹底的に発信すればその溝は埋まっていきます。相手の情報を知ることはできないかもしれませんが、自分のことを伝える努力はできます。

 刃物屋さんなら、お客様に発信できることがたくさんあるはずです。まずは刃物の選び方。刺身を切るときはどんな刃物がいいのか、骨が多い魚ならどんな刃物が向いているのか。刃物のメンテナンスはどうやって行うのか。どのタイミングで刃物は研ぐのか。はたして自分でできるものなのか。刃物という商材の話でなくても、自社の理念や、刃物への愛情・こだわりを語ってもいいかもしれません。長く続けてきた刃物屋さんなら、歴史とともに語れるストーリーがあるはずです。

 「私たちは誠実な刃物屋を目指しています」とひと言いうよりも、情報を発信し続けることの方がよっぽど人柄を伝えることができます。初めて会った人に「大丈夫です。私のことを信用してください」と言われても、「はい、わかりました」とはなかなかいかないでしょう。でも、毎日の仕事に対する発信を読んでいれば自然と人間性が伝わるはずです。「私のことを信用してください」と言わなくても、信用をいただくことができると思います。

 何かの拍子でタチの悪いクレーマーに運悪く絡まれ、インターネット上での炎上の危機を迎えたとします。そんなときも、きちんと情報を発信し続けていれば、信用は失わないはずです。守ってくれる人があらわれるはずです。おそらく、誠実は発信を続けている人にはそもそもクレーマーは寄ってこないと思いますが。(勝てないことが雰囲気で伝わるので)

 炎上しないためには、「徹底的に発信する」。この1点です。

 おわり。