著者:石田 麻琴

「カートに入れる」がいいのか、「カートへ入れる」がいいのか【no.1030】

 ちょっと最近印象に残った、「言葉の」というか「神は細部に宿る」的な話をいくつか。

 ZOZOタウンを運営しているスタートトゥデイの前澤さんのことご存じの方多いと思うんですけれども、徹底的に無駄をそぎ落とす人としても有名なんですよね。無駄な会議はやらない、無駄な資料はつくらない(作らせない)、会社には社長室もなく、会議室にいてそのまま打ち合わせができるようにしている。

 それに有名なのはスタッフの定時を「6時間」にしたことで、本当にスタートトゥデイのスタッフは6時間しか働かない。理想として、じゃなくて本当に実現しちゃう。前澤さん自身も「週3日、1日6時間」しか出勤しないっていうくらいだから、すごい。まあ、私にとってはバンド時代の前澤さんの方がヒーローだったりするんですが。

 徹底的に無駄をそぎ落とすんだけれども、こだわるところには徹底的にこだわる。無駄をそぎ落とした結果、みんなが考えること、議論することが「本質」に近づく。その「本質」に対して徹底的に頭を使うためにあらゆる無駄をそぎ落とす。

 ZOZOタウン上のボタン表記で、「カートに入れる」にするのがいいのか、「カートへ入れる」にするのがいいのか、そういうところに徹底的にこだわる。個人的には「カートへ入れる」の方が若干の丁寧感とスムーズ感が出るのかなと思っていましたが、いま現在は「カートへ入れる」になっていました。

 「本質」を徹底的に追求するために、余計な頭を使わない。有名な話ですが、スティーブ・ジョブズが毎日同じTシャツを着ていたのも、「どのTシャツを着ようかな」という余計な判断を入れないためだと言われていますよね。毎日同じTシャツ(何枚も持っている)と決まっていれば、判断する力を他につぎ込めるわけです。

 話は戻って、「カートに入れる」がいいか「カートへ入れる」がいいのか、という話。「へ」か「に」か、みたいな細部の気遣いは本当に重要。これで本当に売上が変わります。ネット上で読んだ話なのですが、これも最近印象に残った話。

 キャビンアテンダントをやられていた方が「本日は、誠にありがとうございました」とアナウンスしたらお客様に怒られた、「いや、俺は毎回あんたの航空会社を利用しているから」と。つまり、「本日は」ではなく「本日も」と言いなさいって話なんですね。

 もうひとつ。「注文、なににしますか?」と聞かれて「コーヒーでいいや」という返答。これも言葉としては美しくない。「コーヒーで」と答えると、魅力的な商品がないから妥協で選んでるんですよ、というニュアンスになってしまう。「~でいい」という言葉の使い方はするなって、よく子どものとき母親に怒られました。特に、人にお金出してもらってるときは絶対言っちゃダメね。

 最後にネットショップっぽい言葉の気の遣い方。よくあるのが「~でないと応募できません」という表現。これは「~の方が応募できます!」でいいじゃない。ネットショップの注意書きはとにかくネガティブなものが多い。どうしても「例外」を伝えたいのはわかるけれども、いい回しはポジティブに。「あれはダメです。これはダメです」なんてお店はやっぱりイヤよね。(これが実店舗だったら・・って考えてみよう)

 ついつい(私も)やってしまうことだけど、こういうのってやっぱり習慣です。「本質的」なことに、たくさん頭を使っていきたいですね。自分も無駄なことを「あたり前に必要なこと」って思いこんじゃってるんだろうなぁ。

 おわり。

 

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