ネットショップも含め、ビジネスにはふたつのパターンがあります。
ひとつは、すでにある価値に特化することでビジネスをつくるパターン。もうひとつは、今までになかった新しい価値をビジネスにするパターン。このふたつになります。
まずは、まずはすでにある価値に特化することでビジネスをつくるパターンです。
とある業界(靴業界でも下着業界でも家電業界でも何でも良い)に参入するとします。当然、ビジネスの立ち上げ当初は序列でいうと最下位からのスタートです。仮に、あなたの会社をE社とします。業界の大手から順にA社、B社、C社、D社があるとします。E社はD社の次の規模です。
ここでE社はA社と同じことをやっていても勝てません。D社と同じことをやっていても勝てません。両社とも資本力が上ですし、先行者メリットもあります。E社は競合に対して差別性を出し、「専門店化」してA社、B社、C社、D社から少しずつお客様を獲得していきます。「○○ならE社だよね」というものを作るわけですね。
「弊社はA社のようなことをやっているのですが、○○に特化しています。○○なら絶対弊社です!」。すでに市場はあるのですから、お客様は興味を示してくれるようになります。「違い」を出して市場からお客様を集める。そうして序列がA社、B社、C社、E社、D社となったところで、D社にひそかに勝負を挑みD社のお客様を集めてしまいます。A社、B社、E社、C社になったら、今度は対C社というわけです。
実際には力関係がこんなにシンプルではないでしょうし、業界によって大手・中小の差はあるでしょうが、基本的なセオリーでいうとこうなります。
もうひとつの、今までになかった新しい価値をビジネスにするパターンです。
一見すると、競合がいないので「お客様取り放題」だと思われるのですが、こちらのパターンで大変なのは「お客様に説明しなければいけない」ということです。どのようなサービスなのか、どんな価値があるのかを知ってもらうところからスタートしていかなければいけません。
「弊社はA社のようなことをやっているのですが・・」と言えない。自分自身はサービスについて毎日考えていて、十分理解をしているのですが、わかりやすく説明してもなぜかお客様に伝わらない。他のすでにあるサービスとひと括りにされてしまう、ということが起こります。お客様も頑張ってあなたを理解しようとするほどヒマではないのです。
ただ、たくさんの方に理解されない中でも、ごくまれに「違い」を見抜いてくれる人がいます。もしくは伝えようという努力に乗ってくれる人がいます。そんな人が現れるまで、伝えて伝えて伝えまくるしかありません。多くの場合、伝わらないのは伝え方が悪いのではなく、伝える回数が少ないからです。
「すでにある価値に特化することでビジネスをつくるパターン」「今までになかった新しい価値をビジネスにするパターン」のどちらでビジネスをスタートする人が多いかというと、おそらく後者です。独立、起業をする場合、ほとんどが「自分のやりたいこと」で事業をスタートするでしょうから、必然的に「今までになかった新しい価値をビジネスにするパターン」が多くなります。
しかし、ビジネスとして成功しやすい、軌道に乗りやすいのは圧倒的に「すでにある価値に特化することでビジネスをつくるパターン」です。すでにそこに市場があるのですから、事業の運用カイゼンもスムーズにいきます。「今までになかった新しい価値をビジネスにするパターン」は自社のサービスが悪いのか、市場がないのか、途中でわからなくなって疲れちゃう(もしくは資本がとける)んですね。
おわり。
[…] ・すでにある価値に特化するか、新しい価値をビジネスにするか【no.0884】 […]