セブンアンドアイグループが、グループ横断のECサイト「omuni7(オムニ7)」を11月1日にオープンすると発表しました。2013年秋、セブンアンドアイの40周年記念で鈴木会長が話した「リアルとネットの融合」をリリースするときが、ついにやってきたというわけです。
この「オムニチャネル」という言葉・・
セブンアンドアイグループのECサイトにも「オムニ」という言葉が入っているものの、どこか「死語感」が漂う雰囲気が否めません。「オムニチャネル」という言葉は、2013年に「OtoO(オンライントゥオフライン)」の次のマーケティング戦略として論じられ、当時はオムニチャネル関連の特集やセミナーも多かったのですが、最近ではあまり聞かなくなったように感じます。(バズワードとして落ち着いてきた、ということだと思いますが)
しかし、「オムニチャネル」という考え方自体の流行に惑わされず、一時的な興味で終わるわけでもなく、セブンアンドアイグループはこの「omuni7(オムニ7)」のリリースに向かって、着々と準備を続けてきたということなのですね。11月1日のブランドオープン後、ぜひ「omuni7(オムニ7)」のECサイトを利用してみることをおすすめします。日本最大手の小売りが、2年間でどんなサービスを構築してきたのか楽しみですね。
セブンアンドアイグループがオムニチャネル戦略を実現していくにあたって、気になることが1点あります。セブンアンドアイとしての、「情報メディアサイト」は持たないのか、ということです。
「omuni7(オムニ7)」はあくまで、セブンアンドアイのグループ横断のECサイトです。つまり、「omuni7(オムニ7)」は「モノを買う」ためのサイトということになります。このグループ横断サイトで販売する商品は、セブンアンドアイグループの商品数すべて(=300万点)というのが基本のコンセプトです。お客様は300万点の中から自分の欲しい商品を探しきることはできません。レコメンデーションの機能を有効にするためには、レコメンデーションをするための「お客様の行動データ」が必要になります。それを集めてくるのが、「情報メディアサイト」の役割のひとつです。
また、お客様は商品の存在を知ったときに、「商品の使い方、楽しみ方」をイメージすることができるわけではありません。やはり「モノはモノ」として見てしまうのです。ですから、「お客様への体験の提案」が大切になってきます。この「体験の提案」「使う、楽しむためのストーリー」を提供する役割をはたすのも「情報メディアサイト」ということになります。もちろん、「情報メディアサイト」から抽出されたビッグデータを解析し、次の商品開発に繋げていくことも可能です。
オムニチャネル戦略とは、リアルとネットの「顧客データの統合」です。そして、これは「商品主導」のマーケティングから、「顧客主導」のマーケティングへの時代の変化ということになります。
セブンアンドアイグループやアマゾンなど、小売りの強者は資本力があるからこそ、ECサイトを軸としてビジネスを進めることができます。しかし、ブランド力がない中小企業、もしくはこれから本格的にネットを活用していく大企業(つまり、ほぼすべての企業)にとっては、「ECサイト→情報メディアサイト」ではなく、「情報メディアサイト→ECサイト」という流れをくんで、ビジネスを構築していくのが主流になってくるのだと思います。
21世紀も早15年経ちましたが、「これからのビジネス構築」というテーマで数回、書いていきたいと思います。
つづく。