ネットショップのあるあるストーリー、「鬼切社長シリーズ」。(前回はこちら)
麻間(あさま)さんの額が汗でびっしょり濡れているのをみて、七海さんは会議室を飛び出し、急いで冷たいおしぼりとペットボトルのお茶を持ってきました。
「麻間さん、これ、使ってください」
麻間さんは、まず受け取ったおしぼりで額と、顔全体をぬぐいました。そして、ペットボトルのふたを空け、お茶をグビグビと勢いよく飲みました。麻間さんがペットボトルを置くと、容器の半分近くまでお茶が減っていました。
「ふぅぅぅ。七海さん、ありがとうございます。スッキリしました。話は戻りますが、そういうことなんです。もちろん、インターネットから『潜在顧客』の方にリーチする方法はないことはないですが、おにぎり水産の場合、工場や実店舗という『潜在顧客』にリーチする場所を持っているので、まずはネットショップの役割としては『見込顧客』にきちんとアクセスしてもらうことを中心にもってくるのが良いと思います。『見込顧客』とは、つまり、『すでに笹かまオニギリのことを知っている人』ということですね」
「ということは、笹かまオニギリの実店舗に来店した方に、どうやってネットショップの存在を知ってもらうか、ということですね。その部分については、まったく考えていませんでした」
七海さんはいいました。
「いま、笹かまオニギリのネットショップに1日5~10人ですが、お客さんが来られているじゃないですか。そして、まだ数日に1件の割合ですが、5,000円のプレミアム笹かまぼこ、注文いただいているじゃないですか。おそらく、いずれも『すでに笹かまオニギリのことを知っている人』だと思いますよ。ネットショップってお客さんの顔が見えないのでわかりませんが、たぶん、そうだと思います」
麻間さんに七海さんはすぐさま質問をしました。
「でも、それって、いまの話からするとおかしいですよね。実店舗の笹かまオニギリでは、ネットショップが開店したことをまだ告知していないのに、笹かまオニギリのネットショップに1日5~10人のアクセスがあって、数日に1件、注文をいただいていて、さらにそれが『すでに笹かまオニギリのことを知っている人』だなんて。そのお客さんって、どこから笹かまオニギリのネットショップの存在を知ったんだろうって・・」
麻間さんは七海さんの話を細かく相づちを打ちながら聞いていました。七海さんが話し終わると同時に、麻間さんは回答をしました。
「お客さん自身が『勝手に』探してくれているんでしょうね。工場や実店舗で笹かまオニギリのネットショップの存在をお客さんに告知しなかったとしても、お客さんは『きっとネットショップがあるのだろう』と予想してインターネットの検索をかけることがあります。スマートフォンもこれだけ普及して、1人1台パソコンを持っているような状況になっていますし、通信の速度も上がっていますし、インターネット検索が本当の文化になりつつありますよね。お客さんの動きって、私たちよりも早かったりします」
七海さんは麻間さんの話を聞きながら、自分自身の普段の行動について考えていました。
「たしかに。気になったお店とか、買ってみて美味しかったものとかがあると、インターネットでホームページとかネットショップとか探しちゃいますもんね。ある種、『リアルがあればネットもある』は、お客さんにとって、当たり前のことになりつつあるのかもしれません。そう考えると、いままでEコマースに真剣に取り組んできたおにぎり水産は・・という感じですが・・」
七海さんは苦笑しました。
「まあ、過去の時間は戻ってこないですから、ここからしっかりやっていくしかないですよね。こちらから告知をしているわけではないのにお客さんがインターネットで探してくれるということは、『笹かまオニギリの商品に満足している』ことの表れなのではないでしょうか。非常にプラスの材料ですよ」
「味には、自信もってますから!!」
七海さんは胸を張っていいました。
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